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7節 コンクリートの工事現場内運搬、打込み及び締固め/8章 耐震改修工事/平成31年版 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)

8.7.1 工事現場内運搬

(1) 運搬用機器は、次による。

(ア) コンクリートポンプ、バケット、シュート、手押し車等とし、コンクリートの種類、品質及び施工条件に応じて、運搬によるコンクリートの品質の変化の少ない機器を選定する。

(イ) 使用に先立ち、内部に付着したコンクリート、異物等を取り除き、十分に整備及び点検を行った機器を使用する。

(2) コンクリートには、運搬及び圧送に当たり水を加えない。

(3) コンクリートポンプによる圧送の場合は、次による。

(ア) 輸送管の保持には、支持台に道板を置いたもの、支持台、脚立、吊金具等を使用し、輸送管の振動により、型枠、配筋及び既に打ち込んだコンクリートに有害な影響を与えないこととする。

(イ) 輸送管の呼び寸法は、圧送距離、圧送高さ、コンクリートの圧送による品質への影響の程度、コンクリートの圧送の難易度、気温等、単位時間当たりの圧送量及び粗骨材の最大寸法を考慮して定める。
ただし、粗骨材の最大寸法に対する輸送管の呼び寸法は、表 8.7.1 による。

表 8.7.1 粗骨材の最大寸法に対する輸送管の呼び寸法

(ウ) コンクリートの圧送に先立ち、富調合のモルタルを圧送して、コンクリートの品質の変化を防止すること。
また、必要に応じて、モルタルの圧送に先立ち、水を用いて装置の内面を潤すこと。
なお、圧送後のモルタルは、型枠内に打ち込んではならない。
ただし、これにより難い場合は、監督職員と協議する。

(エ) 圧送中に、コンクリートの品質の変化を目視等により確認した場合又は閉塞した場合は、その部分のコンクリートを廃棄する。

8.7.2 コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間

(1) コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間は、外気温が 25℃以下の場合は120分以内とし、25℃を超える場合は 90分以内とする。

(2) (1)の時間は、コンクリートの温度を低下させる、又は、その凝結を遅らせるなどの措置を講ずる場合は、監督職員の承諾を受けて、変えることができる。

8.7.3 打込み

(1) コンクリートの品質に悪影響を及ぼすおそれのある降雨又は降雪が予想される場合若しくは打込み中のコンクリート温度が2℃を下回るおそれのある場合は、適切な養生を行う。
なお、適切な養生を行うことができない場合は、打込みを行わない。

(2) 打込みに先立ち、打込み場所を清掃して雑物を取り除き、散水してせき板及び打継ぎ面を湿潤にする。

(3) コンクリートは、目的の位置に可能な限り近づけて打ち込む。

(4) 1回に打ち込むように計画した区画内では、コンクリートが一体となるように連続して打ち込む。

(5) 打込み速度は、コンクリートのワーカビリティー、打込み場所の施工条件等に応じ、良好な締固めができる範囲で定める。

(6) コンクリートの自由落下高さ及び水平流動距離は、コンクリートが分離しない範囲で定める。

(7) 打込みに当たり、鉄筋、型枠、スペーサー及びバーサポートを移動させないように努める。

8.7.4 打継ぎ

(1) 耐震改修工事において新規に打ち込むコンクリートは、打継ぎを設けてはならない。
ただし、これにより難い場合は、監督職員と協議する。

(2) コンクリートを打込んだ後、グラウトを行う場合は、コンクリート上面のレイタンス及びぜい弱なコンクリートを取り除き、健全なコンクリートを露出させる。

8.7.5 締固め

(1) 締固めは、鉄筋、鉄骨、埋設物等の周囲や型枠の隅々までコンクリートが充填され、コンクリートが密実になるように、振動機を扱う作業員、たたき締めを行う作業員、型枠工、鉄筋工等を適切に配置し行う。

(2) 締固めは、コンクリート棒形振動機、型枠振動機又は突き棒を用いて行い、必要に応じて、他の用具を補助として用いる。

8.7.6 打込み後の確認等

(1) 打込み後の確認は、次による。

(ア) 豆板、空洞、コールドジョイント等の有無の確認は、せき板の取外し後に行う。

(イ) コンクリートの有害なひび割れ及びたわみの有無の確認は、支保工の取外し後に行う。

(2) (1)の結果、欠陥を認めた場合は、8.8.6による。

8.7.7 養生

(1) コンクリートを寒気から保護し、打込み後5日間以上は、コンクリート温度を2℃以上に保つ。
ただし、早強ポルトランドセメントの場合は、3日間以上、コンクリート温度を2℃以上に保つ。

(2) コンクリート打込み後、初期凍害を受けるおそれのある場合は、圧縮強度が5N/mm2以上となるまで初期養生を行う。

(3) 打込み後のコンクリートは、透水性の小さいせき板による被覆、養生マット又は水密シートによる被覆、散水又は噴霧、膜養生剤の塗布等により湿潤養生を行う。
その期間は、表 8.7.2により、セメントの種類が普通エコセメントの場合は、特記による。

表 8.7.2 湿潤養生の期間

(4) 凝結硬化中のコンクリートが、有害な振動や外力による悪影響を受けないように、周辺の作業の管理を行う。

(5) コンクリートの打込み後、少なくとも1日間は作業をしない。
やむを得ず作業を行う必要がある場合は、コンクリートに影響を与えないよう保護を行う。

8.7.8 型枠工事

(1) 型枠一般

(ア) この項は、工事現場施工のコンクリートに使用する型枠工事に適用する。

(イ) 型枠は、せき板と支保工から構成する。

(ウ) 型枠は、作業荷重、コンクリートの自重及び側圧、打込み時の振動及び衝撃並びに水平荷重等の外力に耐え、 8.1.4 (3)に定める構造体コンクリートの仕上りを得られるものとする。

(エ) 型枠は、有害な水漏れがなく、取り外しに当たり、コンクリートに損傷を与えないものとする。

(オ) 外部に面するコンクリートの打増し厚さは、特記による。

(2) 型枠の加工及び組立

(ア) 型枠は、施工図等に従って加工し、組み立てる。

(イ) 配筋、型枠の組立又はこれらに伴う資材の運搬、集積等は、これらの荷重を受けるコンクリートが有害な影響を受けない材齢に達してから開始する。

(ウ) シアコネクタをセパレーターとして使用する場合は、特記による。

(エ) 各種配管、ボックス、埋込み金物等は、構造耐力上及び耐久性上支障のない位置に配置し、コンクリート打込み時に移動しないよう、所定の位置に堅固に取り付ける。

(オ) 支柱は、垂直に立て、上下階の支柱は、可能な限り平面上の同一位置とする。
また、地盤に支柱を立てる場合は、地盤を十分に締め固めるとともに、剛性のある板を敷くなど支柱が沈下しないよう必要な措置を講ずる。

(カ) 型枠は、足場、遣方等の仮設物と連結させない。

(キ) 床型枠用鋼製デッキプレートを使用する場合は、取り合う型枠材等の強度を十分確保するほか、製造所の仕様による。

(ク) 型枠締付け金物にコーンを使用する箇所は、次による。

(a) 直接土に接する面(基礎及び地下室のない場合の基礎梁を除く。)

(b) 防水下地

(c) 打放し仕上げ面 (表8.1.4のA種及びB種の場合)

(d) 直に塗装、壁紙張り等の厚さの薄い仕上げをする面

(e) 断熱材を打ち込んだ面 (断熱材を損傷するおそれのない場合を除く。)

(ケ) コンクリートの打込みに先立ち、型枠の組立状態を確認し、監督職員に報告する。

(3) 型枠の存置期間及び取外し

(ア) 型枠の取外しは、型枠の最小存置期間の経過後に行う。

(イ) 型枠の存置期間は、次による。

(a) 最小存置期間は、表8.7.3により、コンクリートの材齢又はコンクリートの圧縮強度により定める。
寒冷のため強度の発現が遅れるおそれのある場合は、コンクリートの圧縮強度により存置期間を定める。
ただし、セメントの種類が普通エコセメントの場合の最小存置期間は特記による。

(b) コンクリートの圧縮強度を圧縮強度試験により確認する場合は、8.8.3によるコンクリートの試験結果及び関係法令等に基づく安全を確認するための資料により、監督職員の承諾を受ける。

(c) コンクリートの圧縮強度を「型わく及び支柱の取り外しに関する基準を定める件」(昭和46年1月 29 日 建設省告示第 110号)第1第一号ロに基づき定める場合は、コンクリートの圧縮強度の計算結果により、監督職員の承諾を受ける。

表 8.7.3 せき板の最小存置期間

(ウ) スリーブの材料に紙チューブを使用した場合は、型枠取外し後に取り除く。

(4) 型枠締付け金物等の措置

(ア) 型枠取り外し後、仕上げがない箇所は、型枠締付け金物の頭を除去し、その跡に表 7.3.1[鉄鋼面錆止め塗料の種別]のA種の錆止め塗料を塗り付ける。

(イ) 型枠締付け金物にコーンを使用した場合は、コーンを取り外して保水剤又は防水剤入りモルタルを充填する等の措置を行う。
また、断熱材の部分では、9.5.2[断熱材打込み工法](2)(オ)による。
モルタルの充填は、一般には面内とし、塗装等の厚さの薄い仕上げの下地では、コンクリート面と同一とする。

(ウ) インサート等で、金属面が見え掛りとなる部分には、錆止め塗料を塗り付ける。

このページは、国土交通省のWebサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)平成31年版 をWebページ化したものです。

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