スキップしてメイン コンテンツに移動

16節 タイル張り/6章 内装改修工事/平成31年版 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)

6.16.1 一般事項

この節は、工事現場において、あと張りでタイル張り仕上げを行う工事に適用する。
なお、タイル張りの浮き及びひび割れを改修する場合は、4章[外壁改修工事]による。

6.16.2 施工一般

(1) 伸縮調整目地は、次による。

(ア) 伸縮調整目地の位置は、特記による。
特記がなければ、床タイルは縦・横とも4m以内ごととする。

(イ) 入隅部、建具枠回り及び設備器具との取合い部に伸縮調整目地を設ける。

(ウ) 伸縮調整目地の寸法は、3.7.3[目地寸法]による。

(2) 施工前の確認は、次による。
タイル張りに先立ち、次の項目について確認を行い、不具合が発見された場合は、直ちに確認結果を監督職員に報告するとともに、不良箇所を補修する。

(a) モルタルの硬化不良、はく離、ひび割れ、浮き等がないこと。

(b) 汚れ、レイタンス等の接着上有害な付着物がないこと。

(c) 所定の下地の精度が確保されていること。

(3) 施工後の確認及び試験は、次による。

(ア) 外観の確認は、次による。
タイル張り完了後、次の項目について目視で外観の確認を行い、不具合が発見された場合は、直ちに確認結果を監督職員に報告する。

① タイルの色調の不ぞろい、不陸、汚れ、割れ、浮上がり及び縁欠けの有無

② 目地幅の不ぞろい、目地の色むら及び目地深さの不均一性

(イ) 打診による確認は、次による。

(a) 吹抜け部分等のタイル張りは、モルタル及び接着剤の硬化後、全面にわたり打診を行う。

(b) 浮き、ひび割れ等が発見された場合は、直ちに(a)による確認結果を監督職員に報告する。

(c) 浮き、ひび割れ等によるタイルの張り直しは、監督職員の承諾を受けて行う。

(ウ) 接着力試験は、次による。
吹抜け部分等のタイル張りは、次により接着力試験を行う。
ただし、施工場所の状況等により、監督職員の承諾を受けて、省略することができる。

(a) 試験方法は、接着力試験機による引張接着強度の測定により、試験は、所定の接着強度が発現したと予想される時期に行う。

(b) 試験体は、次による。

① 試験体は、目地部分をコンクリート面まで切断して周囲と絶縁したものとする。

② 試験体の個数は、100m2ごと及びその端数につき1個以上、かつ、全体で3個以上とする。

③ 試験体の位置は、監督職員の指示による。

(c) 引張接着強度及び破壊状況の判定は、表6.16.1 の場合を合格とする。

表 6.16.1 引張接着強度及び破壊状況

(d) 不合格の場合は、1.2.2[施工計画書]の品質計画として定めた方法で措置し、監督職員の検査を受ける。

6.16.3 セメントモルタルによるタイル張り

(1) 適用範囲
この項は、工事現場において、セメントモルタルによるあと張りでタイル張り仕上げを行う工事に適用する。

(2) 材料

(ア) タイル

(a) タイルの品質は、JIS A 5209 (セラミックタイル) に基づくほか、タイルの形状、寸法、耐凍害性の有無、耐滑り性、標準色・特注色の別等は、特記による。
なお、モザイクタイル及び内装タイルは、タイルの製造所の標準品とする。

(b) 役物の適用は、特記による。
なお、内装タイルは、面取りしたものを使用する。

(c) タイルの試験張り、見本焼き等は、特記による。

(イ) 張付け用材料

(a) 張付けモルタルの材料は、6.15.3の(1)及び(2)による。
ただし、細骨材の大きさは、表6.16.2を標準とする。

表 6.16.2 細骨材の大きさ

(b) 張付けモルタルの混和剤

① 保水剤は、メチルセルロース等の水溶性樹脂とし、実績等の資料を監督職員に提出する。

② セメント混和用ポリマーディスパージョンは、JIS A 6203 (セメント混和用ポリマーディスパージョン及び再乳化形粉末樹脂) による。

(c) 既調合モルタルは、特記による。

(d) 吸水調整材は、4章2節 表 4.2.2[吸水調整材の品質]による。

(e) 既調合目地材の場合は、実績等の資料を監督職員に提出する。

(3) その他の材料
伸縮調整目地のシーリング材は、3章7節[シーリング]による。

(4) 張付けモルタルの調合は、次による。

(ア) モルタルの調合は、表 6.16.3による。
なお、モルタルの練混ぜは、改良積上げ張りに用いるものを除き、原則として、機械練りとする。
また、1回の練混ぜ量は、60分以内に張り終える量とする。

表 6.16.3 モルタルの調合 (容積比)

(イ) 既調合モルタルは、モルタルの製造所の仕様による。

(ウ) 既調合目地材は、モルタルの製造所の仕様による。

(5) 施工時の環境条件は、次による。
施工中又は施工後の気温が5℃以下になると予想される場合は、施工を行わない。

(6) 施工は、次による。

(ア) 下地及びタイルごしらえは、次による。

(a) 下地モルタル塗りを行うコンクリート素地面の処理は特記による。
目荒し工法とする場合は、6.15.5(3)による。

(b) モルタル塗りの下地は、6.15.6(3)による。

(c) タイル張りに先立ち、下地モルタルに適度の水湿し又は吸水調整材の塗布を行う。
ただし、改良積上げ張りの場合、吸水調整材の塗布は行わない。

(d) 吸水性のあるタイルは、必要に応じて、適度の水湿しを行う。

(e) タイルごしらえは、必要に応じて行う。

(イ) 床タイル張りは、次による。

(a) 張付け面積の小さい場合は、容積比でセメント1、細骨材3~4に少量の水を加えた敷モルタルを用いてたたき締め、その硬化具合を見計らい、張付けモルタルを用いてタイルを張り付ける。

(b) (a)以外の場合は、6.15.6(3)により下地モルタルを施工し、その硬化具合を見計らい、張付けモルタルを用いて張り付ける。

(c) 張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし、1層目はこて圧をかけて塗り付ける。
なお、合計の塗厚はユニットタイルは3~5㎜とし、その他のタイルは5~7㎜とする。
1回の塗付け面積の限度は2m2以下とする。

(d) 張付けは、目地割りに基づいて水糸を引き通し、隅、角その他要所を押さえ、通りよく平らに張り付け、表面及び目地底は、随時清掃する。

(e) 張付け面積の大きい場合は、目地割りにより2m程度に基準となるタイル張りを行い、これを定規にして張り付ける。

(f) 化粧目地詰めに先立ち、目地部分を清掃する。
目地詰めは、張付け後モルタルの硬化を見計らって可能な限り早い時期に行う。
また、目地部の乾燥状態により適度の水湿しを行う。

(g) 化粧目地は、次による。

① 目地の深さは歩行に支障のない程度の沈み目地とする。

② 目地幅の大きい場合は、目地用モルタルをゴムごてで確実に充填したうえ、目地ごてで目地押えを行う。

③ 目地幅の小さい場合は、すり込み目地とする。

(h) 目地詰め後、タイル面を清掃する。

(i) 防水層の保護コンクリート等の上にタイルを張る場合は、3.3.5[保護層等の施工](6)による伸縮調整目地に合わせてタイルの伸縮調整目地を設ける。
なお、目地材は、3章7節[シーリング]による。

(ウ) 壁タイル張りは、次による。

(a) タイル張りの工法と張付けモルタルの塗厚は表 6.16.4による。
なお、吹抜け部分等へのタイル張りの工法と張付けモルタルの塗り厚は、表 4.5.4[セメントモルタルによるタイル張り工法と張付け材料の塗厚]による。

表 6.16.4 セメントモルタルによるタイル張り工法と張付けモルタルの塗厚

(b) 改良積上げ張りは、次による。

① 目地割りに基づいて役物を張り付け、水糸を引き通し、下から張り上げる。

② 張付けは、張付けモルタルをタイル裏面全面に平らに塗り付けて張り付けた後、適切な方法でタイル周辺からモルタルがはみ出すまで入念にたたき締め、通りよく平らに張り付ける。
なお、モルタルの塗置き時間は5分以内とする。
また、張付けモルタルに隙間のできた場合は、モルタルを補充する。

③ 1日の張付け高さの上限は、1.5m程度とする。

④ 化粧目地は、次による。

㋐ タイル張り付け後、24 時間以上経過した後、張付けモルタルの硬化を見計らって、目地詰めを行う。

㋑ 目地の深さは、タイル厚さの 1/2以下とする。

㋒ 目地詰めに先立ち、タイル面及び目地部分の清掃を行い、必要に応じて、目地部分の水湿しを行う。

㋓ 目地詰め後、モルタルの硬化を見計らい、目地ごて等で仕上げる。

⑤ 目地詰め後、タイル面の清掃を行う。

(7) 伸縮調整目地にはみ出した張付けモルタルは、全て削り落とし、張付けモルタルの施工が適切でなく隙間ができた場合はモルタルを補充し、目地の形状を整える。

(8) 養生等及び清掃は、次による。

(ア) 養生等は、次による。

(a) モルタルが急激な乾燥又は凍結のおそれがある場合は、適切な防寒、保温設備等を設け、凍結等のないようにする。

(b) 施工中及びモルタルが十分硬化しないうちに、タイル張り面に振動、衝撃等を与えない。

(c) 床タイル張り後、3日間は、タイル上を歩行しない。
やむを得ず、歩行する場合は、道板等で養生を行う。

(イ) 清掃は、次による。

(a) 清掃は水洗いとし、タイル表面を傷めないように汚れを取り除く。

(b) 目地モルタルによる汚れが著しい場合は、監督職員の承諾を受けて、清掃に酸類を用いることができる。
また、酸洗い前後は水洗いを行い、酸類が残らないようにする。
なお、金物類には、酸類が掛からないように養生を行う。

6.16.4 有機系接着剤によるタイル張り

(1) 適用範囲 この項は、工事現場において、有機系接着剤によるあと張りで内装タイル接着剤張り仕上げを行う工事に適用する。

(2) 材料

(ア) タイルは、6.16.3(2)(ア)による。

(イ) 内装タイル接着剤張りに使用する有機系接着剤は、JIS A 5548 (セラミックタイル張り内装用有機系接着剤) に基づき、種類は表6.16.5 による施工箇所に応じたものとする。
ただし、接着剤のホルムアルデヒド放散量は、特記による。
特記がなければ、F☆☆☆☆とする。
なお、吹抜け部分等へのタイル張りに使用する接着剤は、4.2.2[工法別使用材料](8)(ア)(b)による。

表 6.16.5 有機系接着剤の種類と施工箇所

(3) その他の材料は、6.16.3(3)による。

(4) 施工時の環境条件
施工中又は施工後の気温が5℃以下になると予想される場合は、施工を行わない。

(5) 施工前の確認
施工前の確認は、6.16.2(2)によるほか、下地が十分乾燥していること

(6) 施工は、次による。

(ア) 下地は、 6.15.6(3)(イ)(b) によるほか、13節による。

(イ) 下地表面に付着した不純物を除去する。

(ウ) タイルの張付けに当たり、水湿し、吸水調整材の塗布は行わない。

(エ) タイルごしらえは、必要に応じて行う。

(オ) 壁タイル張りは、次による。

(a) 内装タイル接着剤張りに使用する張付け材料の使用量は、表6.16.6による。
なお、吹抜け部分等へのタイル張りの工法と接着剤の使用量は、表 4.5.5[有機系接着剤によるタイル張り工法と張付け材料の使用量]による。

表 6.16.6 有機系接着剤によるタイル張り工法と張付け材料の使用量

(b) 接着剤の1回の塗布面積の限度は、3m2以内とし、かつ、30分以内に張り終える面積とする。
また、練り混ぜる量は、1回の塗布量とする。

(c) 接着剤は、金ごて等を用いて平たんに塗布した後、所定のくし目ごてを用いてくし目を立てる。

(d) 目地割りに基づいて水糸を引き通し、基準となる定規張りを行い、縦横目地引き通しに注意しながら張り上げる。

(e) 1枚張りの場合は、手でもみ込むようにして押さえ付ける。
また、ユニットタイル張りの場合は、全面を軽くたたきながら目地の通りを手直しし、次いでたたき板で密着させる。

(f) 化粧目地は、接着剤の硬化状態を確認した後、6.16.3(6)(ウ)(b)④に準じて、目地詰めを行う。

(g) 目地詰め後、タイル面の清掃を行う。

(7) 養生及び清掃は、次による。

(ア) 接着剤の硬化等に影響のおそれがある場合は、採暖等の養生を行う。

(イ) 清掃は、次による。

(a) 清掃は水洗いとし、タイル表面を傷めないように汚れを取り除く。

(b) 目地モルタルによる汚れが著しい場合は、監督職員の承諾を受けて、清掃に酸類を用いることができる。
また、酸洗い前後は水洗いを行い、酸類が残らないようにする。
なお、金物類には、酸類が掛からないように養生を行う。

(c) 接着剤がタイル表面に付着して硬化した場合には、汚れ除去用の発泡樹脂製品、砂消しゴム等で削り取る。
ただし、表面が平滑な内装タイル等は、接着剤が硬化する前に溶剤等でふき取る。

このページは、国土交通省のWebサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)平成31年版 をWebページ化したものです。

コメント

共有する