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5節 タイル張り仕上げ外壁の改修/4章 外壁改修工事/平成31年版 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)

4.5.1 一般事項
4.5.2 ひび割れ部改修共通事項
4.5.3 欠損部改修共通事項
4.5.4 浮き部改修共通事項
4.5.5 樹脂注入工法
4.5.6 Uカットシール材充填工法
4.5.7 タイル部分張替え工法
4.5.8 タイル張替え工法
4.5.16 目地改修工法

4.5.1 一般事項

この節は、タイル張り仕上げ外壁の改修に適用する。

4.5.2 ひび割れ部改修共通事項

(1) ひび割れ部から漏水が見られる場合、ひび割れ部周辺のタイルに浮きが見られる場合又はひび割れ部から錆汁がでている場合は、事前に監督職員と協議を行う。

(2) タイル張り仕上げを撤去して、ひび割れ部を改修する場合は、次による。

(ア) ひび割れ周辺をダイヤモンドカッター等で健全部分と縁を切って、損傷が拡大しないようにタイル目地に沿って切り込む。
なお、ひび割れ深さに応じて、切込み深さは、次による。

(a) ひび割れが構造体コンクリートに達している場合は、構造体コンクリートの表面までとする。

(b) ひび割れが下地モルタル層内部に達している場合は、下地モルタルの表面までとする。

(c) ひび割れが張り付けモルタル層内部に達している場合又はタイル片のみの場合は、張付けモルタルの表面までとする。

(イ) タイル片及びモルタル層は、のみ、たがね等で健全部分への損傷が拡大しないようはつり撤去する。
タイル等の撤去後に露出したひび割れを確認し監督職員に報告する。

(ウ) (イ)により露出したコンクリートの表面又はモルタルの表面のひび割れ部の改修工法は、4.5.5又は4.5.6による。

(エ) ひび割れ部改修後のタイル張り撤去部の補修は、4.5.7又は4.5.8による。

(3) タイル張りを撤去しない場合の改修工法は、4.5.5による。

4.5.3 欠損部改修共通事項

(1) 欠損部周辺のタイル張りの撤去は、4.5.2(2)又は4.5.4(2)の(ア)及び(イ)による。

(2) 目地割りは、原則として、既存の目地割りに合わせる。

(3) 下地面は、デッキブラシ等で水洗いを行い、モルタル等の接着を妨げるものを取り除く。

(4) (1)から(3)まで以外は、4.3.3による。

4.5.4 浮き部改修共通事項

(1) 補修範囲の確認は、4.4.4(1)による。

(2) タイル張り仕上げを撤去して浮き部を改修する場合は、次による。

(ア) 浮き部を中心にモルタルをダイヤモンドカッター等で健全部分と縁を切って損傷が拡大しないようにタイル目地に沿って切り込む。
なお、切り込み深さは、次による。

① 下地モルタルと構造体コンクリート界面の浮きの場合は、構造体コンクリートの表面までとする。

② 張付けモルタルと下地モルタル界面の浮きの場合は、下地モルタルの表面までとする。

③ タイル裏面と張付けモルタルの界面の浮きの場合は、張付けモルタルの表面までとする。

(イ) タイル片は、のみ、たがね等で健全部分への損傷が拡大しないようはつり撤去する。

(ウ) タイル張り撤去部の補修は、4.5.2(2)(エ)による。

(3) タイル張りを撤去しない場合の改修工法は、4.5.9から 4.5.15までによる。

4.5.5 樹脂注入工法

工法は、4.3.4による。

4.5.6 Uカットシール材充填工法

工法は、4.3.5による。

4.5.7 タイル部分張替え工法

(1) 適用範囲
タイルの部分的な張替えで、既存の下地モルタル等がある場合及び1か所当たりの張替え面積が 0.25m2程度以下の場合に適用する。

(2) ポリマーセメントモルタルを使用する場合は、次による。

(ア) 張替え下地面の水湿し又は吸水調整材の塗布を行う。

(イ) ポリマーセメントモルタルを製造所の仕様により調合し、均一になるまで混練りする。
なお、混ぜる量は、1回の張付け面積分とする。

(ウ) 張替え下地面とタイル裏面の両面にポリマーセメントモルタルを塗り付け、タイルを張り付ける。

(エ) タイル目地詰めは、タイル張り完了後、24時間以上の養生を行った後に目地ごて、ゴムごて等を用いて目地モルタルを塗り込む。
小口タイル以上の大きさの場合は、さらに、目地ごてを用いて仕上げる。
なお、目地深さはタイル厚の 1/2以内とする。

(オ) ポリマーセメントモルタルが硬化するまでは衝撃を与えないようにし、降雨等からも養生する。

(カ) 張替え部以外に付着した材料は、適切な方法で除去する。

(3) 外装タイル接着剤張りの接着剤を使用する場合は、次による。

(ア) 張替え下地面を良く乾燥させる。

(イ) 接着剤は容器から取り出して、直ちに使用する。

(ウ) 張替え下地面に接着剤を塗布し、タイルを張り付ける。

(エ) タイル目地詰めは、(2)(エ)による。

(オ) 接着剤が硬化するまでは衝撃を与えないようにし、降雨等からも養生する。

(カ) 張替え部以外に付着した材料は、適切な方法で除去する。

4.5.8 タイル張替え工法

(1) 適用範囲
タイルの部分的な張替えで、下地モルタルを撤去する場合に適用する。

(2) 伸縮調整目地及びひび割れ誘発目地は、次による。

(ア) 伸縮調整目地及びひび割れ誘発目地の位置は、特記による。
特記がなければ、表4.5.1による。
なお、下地のひび割れ誘発目地、打継ぎ目地及び構造スリットの位置並びに他部材との取合い部には、伸縮調整目地を設ける。

表 4.5.1 伸縮調整目地及びひび割れ誘発目地の位置

(イ) 伸縮調整目地及びひび割れ誘発目地の寸法は、3.7.3[目地寸法]による。
なお、ひび割れ誘発目地のコンクリート目地深さは、打増ししたコンクリート厚さとする。

(ウ) 伸縮調整目地は、躯体と縁を切って設ける。

(エ) 伸縮調整目地及びひび割れ誘発目地のシーリングの材料は 3.7.2[材料]及び(7)(イ)、施工は 3.7.4 [シーリング充填工法] による。

(3) 施工前の確認は、次による。
タイル張りに先立ち、次の項目について確認を行い、不具合が発見された場合は、直ちに確認結果を監督職員に報告するとともに、不良箇所を補修する。

(a) モルタルの硬化不良、はく離、ひび割れ、浮き等がないこと。

(b) 汚れ、レイタンス等接着上有害な付着物がないこと。

(c) 所定の下地の精度が確保されていること。

(4) 施工後の確認及び試験は、次による。

(ア) 外観の確認
タイル張り完了後、次の項目について目視で外観の確認を行い、不具合が発見された場合は、直ちに確認結果を監督職員に報告する。

① タイルの色調の不ぞろい、不陸、汚れ、割れ、浮上がり及び縁欠けの有無

② 目地幅の不ぞろい、目地の色むら及び目地深さの不均一性

(イ) 打診による確認

(a) タイル張りは、モルタル及び接着剤の硬化後、全面にわたり打診を行う。

(b) 浮き、ひび割れ等が発見された場合は、直ちに(a)による確認結果を監督職員に報告する。

(c) 浮き、ひび割れ等によるタイルの張直しは、監督職員の承諾を受けて行う。

(ウ) 接着力試験は、次による。
タイル張りは、次により接着力試験を行う。
ただし、施工場所の状況等により、監督職員の承諾を受けて、省略することができる。

① 試験方法は、接着力試験機による引張接着強度の測定により、試験は、所定の接着強度が発現したと予想される時期に行う。

② 試験体は、次による。

㋐ 試験体は目地部分をコンクリート面まで切断して周囲と絶縁したものとする。

㋑ 試験体の個数は、100m2ごと及びその端数につき1個以上、かつ、全体で3個以上とする。

㋒ 試験体の位置は、監督職員の指示による。

③ 引張接着強度及び破壊状況の判定は、表4.5.2の場合を合格とする。

表 4.5.2 引張接着強度及び破壊状況

④ 不合格の場合は、1.2.2[施工計画書]の品質計画として定めた方法で措置し、監督職員の検査を受ける。

(5) タイル張り下地等の下地モルタル塗り及び下地調整塗材塗りは、次による。

(ア) セメントモルタル張りタイル下地は、次による。

(a) モルタル下地の塗厚は、全仕上げ厚さ、タイル厚さ等から定める。

(b) コンクリートの表面の仕上がり状態は、表 8.1.5[コンクリートの仕上りの平たんさの種別]のb種とする。

(c) タイル張りが、密着張り、改良積上げ張り、改良圧着張り、マスク張り及びモザイクタイル張りの場合並びにセメント系厚付け仕上塗材の場合は、中塗りまで行い、木ごて押えとする。

(d) モルタル下地面の仕上げは、木ごて押えとし、その精度はモザイクタイルでは2mにつき3㎜、小口以上のタイルでは2mにつき4㎜とする。
なお、精度について確認を行い、その結果を監督職員に報告する。

(イ) 外装タイル接着剤張り下地は、次による。

(a) 外装タイル接着剤張りの場合のコンクリートの表面の仕上がり状態は、表 8.1.4[打放し仕上げの種別]のA種及び表 8.1.5 の a 種とし、4.2.2(7)(オ)によるセメント系下地調整厚塗材2種 (下地調整塗材CM-2) 2回塗り、総厚 10 ㎜以上とする。

(b) 外装タイル接着剤張り下地の仕上げは、原則として、金ごて1回押えとし、その精度は1mにつき3㎜以下とする。
なお、精度について確認を行い、その結果を監督職員に報告する。

(c) (a)及び(b)の下地モルタル塗り及び下地調整塗材塗りの確認は、次による。

① 外装タイル張り下地等の下地モルタル及び下地調整塗材塗りの硬化後、全面にわたり打診を行う。
なお、浮き及び精度について確認を行い、その結果を監督職員に報告する。

② 浮き及び精度について、不具合が確認された場合は、直ちに補修を行う。

③ 外装タイル張り下地等の下地モルタル及び下地調整塗材塗りの接着力試験は、特記による。

(ウ) タイルの伸縮調整目地に合わせて幅10mm以上の伸縮調整目地を設ける。
伸縮調整目地は、発泡合成樹脂板の類を用い、目地周辺から浮きが発生しないよう、構造体まで達するようにする。

(6) セメントモルタルによるタイル張りは、次による。

(ア) 材料
セメントモルタルによるタイル張りの材料は4.2.2(8)の(イ)から(キ)までによる。

(イ) モルタルの調合は、表 4.5.3による。
なお、モルタルの練混ぜは、原則として、機械練りとする。
また、1回の練混ぜ量は、60分以内に張り終える量とする。

表 4.5.3 モルタルの調合

(ウ) 既調合モルタルは、モルタルの製造所の仕様による。

(エ) 既調合目地材は、モルタルの製造所の仕様による。

(オ) 施工時の環境条件

(a) 降雨、降雪又は強風が予想される場合、その他タイル張りに悪影響を及ぼすおそれがある場合は、施工を行わない。

(b) 施工中又は施工後の気温が5℃以下になると予想される場合は、施工を行わない。

(カ) 施工は、次による。

(a) 下地及びタイルごしらえは、次による。

① 下地モルタル塗りを行うコンクリート素地面の処理は、特記による。
目荒し工法とする場合は、4.4.9(3)による。

② 下地は、(5)による。

③ タイル下地面の精度は(5)(ア)による。

④ 下地モルタルの乾燥が著しい場合は、前日散水し、十分吸水させる。
ただし、降雨等で十分に吸水されている場合は、この限りでない。

⑤ タイル張りに先立ち、下地モルタルに適度の水湿し又は吸水調整材の塗布を行う。
ただし、改良積上げ張りの場合、吸水調整材の塗布は行わない。

⑥ 吸水性のあるタイルは、必要に応じて、適度の水湿しを行う。

⑦ タイルごしらえは、必要に応じて行う。

(b) タイル張りの工法と張付けモルタルの塗厚は表4.5.4により、タイルの種類及び工法は特記による。

表 4.5.4 セメントモルタルによるタイル張り工法と張付けモルタルの塗厚

(c) 密着張りは、次による。

① 張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし、1層目はこて圧をかけて塗り付ける。
なお、張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、張付けモルタルに触れると手に付く状態のままタイル張りが完了できることとし、2m2/人以内、かつ、20 分以内に張り終える面積とする。

② 張付け順序は、目地割りに基づいて水糸を引き通し、窓、出入口回り、隅、角等の役物を先に行う。

③ 張付けは、張付けモルタルの塗付け後、直ちにタイルをモルタルに押し当て、タイル張り用振動機 (ヴィブラート) を用い、タイル表面に振動を与え、張付けモルタルがタイル裏面全面に回り、さらに、タイル周辺からモルタルがはみ出すまで振動機を移動させながら、目違いのないよう通りよく張り付ける。

④ 化粧目地は、次による。

㋐ タイル張付け後、24 時間以上経過した後、張付けモルタルの硬化を見計らって、目地詰めを行う。

㋑ 目地の深さは、タイル厚さの 1/2以下とする。

㋒ 目地詰めに先立ち、タイル面及び目地部分の清掃を行い、必要に応じて、目地部分の水湿しを行う。

㋓ 目地詰め後、モルタルの硬化を見計らい、目地ごて等で仕上げる。

⑤ 目地成形後、タイル面の清掃を行う。

(d) 改良積上げ張りは、次による。

① 目地割りに基づいて役物を張り付け、水糸を引き通し、下から張り上げる。

② 張付けは、張付けモルタルをタイル裏面全面に平らに塗り付けて張り付けた後、適切方法でタイル周辺からモルタルがはみ出すまで入念にたたき締め、通りよく平らに張り付ける。
なお、モルタルの塗置き時間は5分以内とする。

③ 1日の張付け高さの上限は、1.5m程度とする。

④ 化粧目地は、(c)④による。

⑤ 目地詰め後、タイル面の清掃を行う。

(e) 改良圧着張りは、次による。

① 張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし、1層目はこて圧をかけて塗り付ける。
なお、張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、張付けモルタルに触れると手に付く状態のままタイル張りが完了できることとし、2m2/人以内、かつ、60 分以内に張り終える面積とする。

② 張付け順序は、(c)②による。

③ 張付けに先立ち、下地側に張付けモルタルをむらなく平たんに塗り付ける。

④ 張付けは、タイル裏面全面に張付けモルタルを平らに塗り付けて張り付け、適切な方法でタイル周辺からモルタルがはみ出すまでたたき締め、通りよく平らに張り付ける。

⑤ 1回のモルタル塗面にタイルを張り終わったとき、モルタルの硬化の程度により、張付けが終わったタイル周辺にはみ出しているモルタルは、除去し、塗り直してからタイルを張り進める。

⑥ 化粧目地は、(c)④による。

⑦ 目地詰め後、タイル面の清掃を行う。

(f) マスク張り (25mm角を超え小口未満のタイル) は、次による。

① 張付けモルタルには、混和剤を用いる。

② 張付け順序は、(c)②とし、役物及び切物タイルの張付けは、(d)②による。

③ 張付けは、張付けモルタルをタイルに見合った、ユニットタイル用マスクを用い、ユニット裏面全面にこてで圧着して塗り付け、縦横及び目地幅の通りをそろえて張り付け、適切な方法で目地部分に張付けモルタルがタイル周辺からはみ出すまでたたき締める。
なお、モルタルの塗置き時間は、(d)②による。

④ 表張り紙の紙はがしは、張付け後、時期を見計らって水湿しをして紙をはがし、著しい配列の乱れがある場合は、タイルの配列を直す。

⑤ 化粧目地は、すり込み目地とするほかは、(c)④の㋐から㋒までによる。

⑥ 目地詰め後、タイル面の清掃を行う。

(g) モザイクタイル張り (小口未満のタイル) は、次による。

① 張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし、1層目はこて圧をかけて塗り付ける。
なお、張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、張付けモルタルに触れると手に付く状態のままタイル張りが完了できることとし、3m2/人以内、かつ、20 分以内に張り終える面積とする。

② 張付けモルタルを塗り付けた後、タイルを張り付け、縦横及び目地幅の通りをそろえ、適切な方法で目地部分に張付けモルタルが盛り上がるまでたたき締める。
なお、タイル張継ぎ部分の張付けモルタルは、除去し、塗り直す。

③ 表張り紙の紙はがしは、(f)④による。

④ 化粧目地は、(f)⑤による。

⑤ 目地詰め後、タイル面の清掃を行う。

⑥ ①から⑤まで以外は、(c)による。

(h) まぐさ、窓台等のタイル張りは、次による。

① 下地は、設計図書に基づき、形状、水勾配等を正しく施工する。
小口タイル以上の大きさのタイルをまぐさ又はひさし先端下部に張り付ける場合は、4.2.2(8)(カ)の引金物を張付けモルタルに塗り込み、必要に応じて、受木を添えて24時間以上支持する。

② 窓台部分のタイルは、窓枠、水切板等の裏面に差し込み、裏面に隙間のないようにモルタルを充填する。

③ ①及び②以外は、一般部分に準ずる。

(i) 伸縮調整目地にはみ出した張付けモルタルは全て削り落とし、張付けモルタルの施工が適切でなく隙間のできた場合はモルタルを補充し、目地の形状を整える。

(キ) 養生等及び清掃は、次による。

(a) 養生等は、次による。

① 強い直射日光、強風、降雨等により損傷を受けるおそれのある場合は、シートを張るなどして養生を行う。

② モルタルが急激な乾燥又は凍結のおそれがある場合は、適切な防寒、保温設備等を設け、凍結等のないようにする。

③ 施工中及びモルタルが十分硬化しないうちに、タイル張り面に振動、衝撃等を与えない。

(b) 清掃は、次による。

① 清掃は水洗いとし、タイル表面を傷めないように汚れを取り除く。

② 目地モルタルによる汚れが著しい場合は、監督職員の承諾を受けて、清掃に酸類を用いることができる。
また、酸洗い前後は水洗いを行い、酸類が残らないようにする。
なお、金物類には、酸類が掛からないように養生を行う。

(7) 有機系接着剤によるタイル張りは、次による。

(ア) 材料は、次による。
有機系接着剤によるタイル張りの材料は、4.2.2(8)の(ア)(b)及び(イ)から(カ)までによる。

(イ) シーリング材は、次による。

(a) シーリングは、3章7節[シーリング]による。
シーリング材の種類は、特記による。
特記がなければ、打継ぎ目地及びひび割れ誘発目地のシーリング材はポリウレタン系シーリング材とし、伸縮調整目地その他の目地は変成シリコーン系シーリング材とする。

(b) シーリング材は、施工に先立ち、接着剤による汚染が出ないことを確認する。

(ウ) 施工時の環境条件は、次による。

(a) 降雨、降雪又は強風が予想される場合、その他タイル張りに悪影響を及ぼすおそれがある場合は、施工を行わない。

(b) 施工中又は施工後の気温が5℃以下になると予想される場合は、施工を行わない。

(エ) 施工前の確認
施工前の確認は、(3)によるほか、下地が十分乾燥していること。

(オ) 施工は、次による。

(a) 下地及びタイルごしらえは、次による。

① モルタル塗りを行うコンクリート素地面の処理は、特記による。
目荒し工法とする場合は、4.4.9(3)による。

② 外装タイル接着剤張り下地等の下地調整材塗りは、(5)(イ)による。

③ タイルの張付けに当たり、下地モルタルに水湿し及び吸水調整材の塗布は行わない。

④ タイルごしらえは、必要に応じて行う。

(b) タイル張りの工法と張付け材料の使用量は表4.5.5により、タイルの種類等は、特記による。

表4.5.5

(c) 工法は、次による。

① 接着剤の1回の塗布面積の限度は、30分以内に張り終える面積とする。

② 接着剤は金ごて等を用いて平たんに塗布した後、所定のくし目ごてを用いて壁面に60°の角度を保ってくし目を立てる。
裏あしのあるタイルを用い、くし目を立てて接着剤を塗り付けて張り付ける場合は、裏あしに対して直交又は斜め方向にくし目を立てる。
接着剤を平たんに塗り付ける場合は、一度くし目を立てた後に、金ごてを用いて平たんに均す。
ただし、目地幅が3㎜以下の空目地の場合は、くし目状態のままとする。

③ 目地割りに基づいて水糸を引き通し、基準となる定規張りを行い、縦横目地引き通しに注意しながら張り上げる。

④ 1枚張りの場合は、手でもみ込んだ後、たたき板、タイル張りに用いるハンマーでたたき押えるか、又は、振動工具を用いて加振して張り付ける。
また、ユニットタイル張りの場合は、全面を軽くたたきながら目地の通りの手直しを行い、たたき板で密着させる。

⑤ まぐさ、窓台等のタイル張りの下地は、水切が適切に行えるよう、形状、水勾配等を正しく施工する。

⑥ 化粧目地を詰める場合は、接着剤の硬化状態を確認した後、(6)(カ)(c)④に準じて目地詰めを行う。

⑦ タイル面の清掃を行う。

(d) 養生及び清掃は、次による。

① 養生は、次による。

㋐ 強い直射日光、強風、降雨等により損傷を受けるおそれのある場合は、シートを張るなどして養生を行う。

㋑ 接着剤の硬化等に影響の恐れのある場合は、適切な防寒、保温設備等を設け、凍害等のないようにする。

② 清掃は、次による。

㋐ 清掃は水洗いとし、タイル表面を傷めないように汚れを取り除く。

㋑ 目地モルタルによる汚れが著しい場合は、監督職員の承諾を受けて、清掃に酸類を用いることができる。
また、酸洗い前後に水洗いを行い、酸類が残らないようにする。
なお、金物類には、酸類が掛からないように養生を行う。

㋒ 接着剤がタイル表面に付着して硬化した場合には、汚れ除去用の発泡樹脂製品、砂消しゴム等で削り取る。
ただし、表面が平滑な壁タイル等は、接着剤が硬化する前に溶剤等でふき取る。

4.5.9 アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法

工法は、4.4.10による。
ただし、穿孔位置がタイル陶片にかかる場合は、穿孔位置を近傍のタイル目地部分に釣り合いを保ちながら移動する。

4.5.10 アンカーピンニング全面エポキシ樹脂注入工法

工法は、4.4.11による。
ただし、穿孔位置がタイル陶片にかかる場合は、穿孔位置を近傍のタイル目地部分に釣り合いを保ちながら移動する。

4.5.11 アンカーピンニング全面ポリマーセメントスラリー注入工法

工法は、4.4.12による。
ただし、穿孔位置がタイル陶片にかかる場合は、穿孔位置を近傍のタイル目地部分に釣り合いを保ちながら移動する。

4.5.12 注入口付アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法

工法は、4.4.13による。
ただし、穿孔位置がタイル陶片にかかる場合は、穿孔位置を近傍のタイル目地部分に釣り合いを保ちながら移動する。

4.5.13 注入口付アンカーピンニング全面エポキシ樹脂注入工法

工法は、4.4.14による。
ただし、穿孔位置がタイル陶片にかかる場合は、穿孔位置を近傍のタイル目地部分に釣り合いを保ちながら移動する。

4.5.14 注入口付アンカーピンニング全面ポリマーセメントスラリー注入工法

工法は、4.4.15による。
ただし、穿孔位置がタイル陶片にかかる場合は、穿孔位置を近傍のタイル目地部分に釣り合いを保ちながら移動する。

4.5.15 注入口付アンカーピンニングエポキシ樹脂注入タイル固定工法

特殊ドリルを使用して、タイル中央に穿孔し直接注入口付アンカーピンを打ち込み、注入用エポキシ樹脂を注入してタイルを固定する。
タイルにあけた孔は化粧キャップ又は樹脂パテでふさぐ。

(1) 適用できるタイルの大きさは、小口タイル以上を目安とする。

(2) 注入口付アンカーピンの本数は、特記による。

(3) (1)及び(2)以外は、4.4.13に準ずる。

4.5.16 目地改修工法

(1) 目地ひび割れ部改修工法は、次による。

(ア) 既存目地材は、タイルに損傷を与えないように目地に沿って下地モルタルの表面までダイヤモンドカッターを入れてはつり取る。

(イ) (ア)の後、目地部分に付着したほこりや異物を除く。

(ウ) 目地詰めは、4.5.8(6)(カ)による。

(エ) 目地詰め後、タイル面の清掃を行う。

(2) 伸縮調整目地改修工法は、次による。

(ア) 伸縮調整目地の位置及び寸法は、特記による。
目地の切込みに先立ち、伸縮調整目地位置とタイル目地の取合いについて確認し、監督職員と協議する。

(イ) 目地位置に沿って、ダイヤモンドカッターを用いて構造体表面まで切り込み、所定の形状になるようはつり器具を用いてはつり落とし、目地材として発泡合成樹脂板の類を設ける。
なお、既存タイル面を切断する場合で、タイルが浮くなどのおそれがある場合は、監督職員と協議する。

(ウ) 目地のシーリングは、3章7節[シーリング]による。

このページは、国土交通省のWebサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)平成31年版 をWebページ化したものです。

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