4.4.2 ひび割れ部改修共通事項
4.4.3 欠損部改修共通事項
4.4.4 浮き部改修共通事項
4.4.5 樹脂注入工法
4.4.6 Uカットシール材充填工法
4.4.7 シール工法
4.4.8 充填工法
4.4.9 モルタル塗替え工法
4.4.1 一般事項
この節は、モルタル塗り仕上げ外壁の改修に適用する。
4.4.2 ひび割れ部改修共通事項
(1) ひび割れ部から漏水が見られる場合、ひび割れ部周辺のモルタルに浮きが見られる場合又はひび割れ部から錆汁がでている場合は、事前に監督職員と協議を行う。
(2) モルタルを撤去する場合は、次による。
モルタルを撤去してひび割れ部を改修する場合は、次による。
(a) ひび割れを中心に幅100mm程度のモルタルをダイヤモンドカッター等で健全部分と縁切りを行い、はつり撤去する。
モルタル撤去後に、露出したひび割れを確認し、監督職員に報告する。
(b) ひび割れ部の改修工法は、4.3.4から 4.3.6までによる。
(c) ひび割れ部改修後の、モルタル撤去部分の補修は、4.4.8又は 4.4.9による。
(3) モルタルを撤去しない場合の改修工法は、4.4.5から 4.4.7までによる。
(4) 塗り仕上げを撤去する場合は、4.6.3とし、各々の工法終了後の補修は6節による。
4.4.3 欠損部改修共通事項
(1) 欠損部周辺のモルタル浮き部分は、ダイヤモンドカッター等で健全部と縁を切って、損傷が拡大しないようにはつり撤去する。
(2) 下地面は、デッキブラシ等で水洗いを行い、モルタル等の接着を妨げるものを取り除く。
(3) (1)及び(2)以外は、4.3.3による。
4.4.4 浮き部改修共通事項
(1) 補修範囲は、テストハンマー等により、はく落のおそれがある浮き部について確認し、アンカーピンニング等の位置をチョーク等で明示する。
(2) モルタルを撤去する場合
モルタルを撤去して浮き部を改修する場合は、次による。
(a) 浮き部を中心にモルタルをダイヤモンドカッター等で健全部分と縁切りを行い、はつり撤去する。
(b) モルタル撤去部の補修は、4.4.8又は 4.4.9による。
(3) モルタルを撤去しない場合の改修工法は、4.4.10から4.4.15までによる。
(4) 塗り仕上げを撤去する場合は、4.6.3とし、各々の工法終了後の補修は6節による。
4.4.5 樹脂注入工法
工法は、4.3.4による。
4.4.6 Uカットシール材充填工法
工法は、4.3.5による。
4.4.7 シール工法
工法は、4.3.6による。
4.4.8 充填工法
(1) 適用範囲
欠損部の面積が1か所当たり0.25m2程度以下の場合に適用する。
(2) 工法は、4.3.7(3)による。
(3) 確認は、4.3.7(4)による。
4.4.9 モルタル塗替え工法
(1) 適用範囲
モルタル塗替え及び 4.4.8以外の充填を行う場合に適用する。
(2) 調合及び塗厚
(ア) モルタルの調合及び塗厚は、表 4.4.1 による。
(イ) ポリマーセメントモルタルの調合は、(ア)による。
ただし、混和剤の使用量は、セメント質量の5% (全固形分換算) 程度とする。
(ウ) ポリマーセメントペーストの混和剤の使用量は、セメント質量の5% (全固形分換算) 程度とする。
(エ) 混和材料の使用量は、モルタルの強度等に著しい悪影響を与えない程度とする。
(オ) モルタルの練混ぜは、原則として、機械練りとする。
(カ) 1回の練混ぜ量は、60分以内に使い切れる量とする。
(3) 下地処理は、次による。
(ア) コンクリート、コンクリートブロック等の壁で、ひずみ、不陸等の著しい箇所は、目荒し、水洗い等のうえモルタル又は下地調整塗材で補修し、14日以上放置する。
ただし、気象条件等により、モルタルの接着が確保できる場合は、放置期間を短縮することができる。
(イ) コンクリート、コンクリートブロック壁面は、デッキブラシ等で水洗いを行い、モルタルの接着を妨げるものを除く。
(ウ) コンクリート壁面に高圧水洗処理で目荒しを行う場合は、水圧及び目荒し時間を適切に設定し、モルタルの接着に適した粗面に仕上げる。
(エ) 高圧水洗処理に先立ち、試験施工を行い、目荒しの状態について監督職員の承諾を受ける。
(オ) 仕上げ厚又は全塗厚が 25mmを超える場合の処置は、特記による。
(4) 工法は、次による。
(ア) 下塗りは、次による。
(a) (3)の下地処理後、下地の乾燥具合を見計らい、吸水調整材を吸水調整材の製造所の仕様により全面に塗る。
ただし、下塗りにポリマーセメントモルタルを塗り付ける場合以外にあっては、(3)の下地処理後、吸水調整材塗りに代えてポリマーセメントペーストを1~2mm塗りとすることができる。
この場合、必要に応じて、保水剤を使用する。
(b) 塗付けは、吸水調整材塗りを行った場合は乾燥後、ポリマーセメントペースト塗りを行った場合は、ポリマーセメントペーストが乾燥しないうちに、塗残しのないよう全面に行う。
(c) 下塗り面は、金ぐし類で荒らし目をつける。
(d) 下塗り後、モルタル表面のドライアウトを防止するために、水湿しを行う。
(e) 下塗りは、14日以上放置して、ひび割れ等を十分発生させてから次の塗付けを行う。
ただし、気象条件等により、モルタルの接着が確保できる場合は、放置期間を短縮することができる。
(イ) むら直しは、次による。
(a) むらが著しい場合に行う。
(b) むら直しが、部分的な場合は、下塗りに引き続いて行い、(ア)の(c)から(e)までによる。
(c) むら直し部分が比較的大きい場合は、(ア)(e)の後、塗り付ける。
塗付け後、荒らし目をつけ、7日以上放置する。
ただし、気象条件等によりモルタルの接着が確保できる場合は、放置期間を短縮することができる。
(ウ) 中塗りは、次による。
出隅、入隅、ちり回り等は、定規塗りを行い、定規通しよく平らに塗り付ける。
(エ) 上塗りは、次による。
中塗りの状態を見計らい、面、角、ちり回り等に注意し、次により、こてむらなく平らになるように、仕上げる。
① 金ごて仕上げの場合は、金ごてで押さえて仕上げる。
② 木ごて仕上げの場合は、水引き具合を見計らい、木ごてでむらを取り、平たんに仕上げる。
③ はけ引き仕上げの場合は、木ごてで均した後、少量の水を含ませたはけを引き、はけ目の通りよく仕上げる。
(オ) 仕上げの種類は、次による。
仕上げの種類は、施工箇所に応じて、表4.4.2 を標準とする。
(カ) 目地を設ける場合は、あらかじめ目地棒で通りよく仕切り、仕上げ後、目地棒を外し、目地塗りをする。
なお、既製目地材は、あらかじめ所定の位置に通りよく取り付け、壁塗りを行う。
4.4.10 アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法
(1) 浮き部分に対するアンカーピン本数は、特記による。
特記がなければ、一般部分は16 本/m2、指定部分 (見上げ面、ひさしのはな、まぐさ隅角部分等をいう。) は 25本/m2とする。
ただし、浮き面積が1m2以下の場合は、図 4.4.1に示す標準配置グリッドをあてはめた最大本数程度とする。
また、狭幅部 (幅200mm以下で帯状にはく離している幅の狭い箇所) には、幅中央に5本/mとする。
(2) アンカーピン固定部の穿孔は、コンクリート用ドリルを用い、使用するアンカーピンの直径より約1~2mm大きい直径とし、壁面に対し直角に穿孔する。
穿孔は、マーキングに従って行い、構造体コンクリート中に30mm程度の深さに達するまで行う。
(3) 穿孔後は、孔内をブラシ等で清掃後、圧搾空気、吸引機等で接着の妨げとなる切粉等を除去する。
(4) 穿孔内の乾燥状態を確認し、湿潤状態のときは、監督職員と協議を行う。
(5) 穿孔部の浮き代を確認し、(7)による注入量に疑義がある場合又は著しい浮きが確認された場合は、監督職員と協議を行う。
(6) アンカーピン固定用エポキシ樹脂は、アンカーピン固定用エポキシ樹脂の製造所の仕様により、均一になるまで混練りする。
(7) アンカーピン固定用エポキシ樹脂は、手動式注入器を用い、アンカーピン固定部の最深部から徐々に注入する。
注入量は、特記による。
特記がなければ、挿入孔1か所当たり25mL とする。
(8) 挿入に先立ち、適切な長さのアンカーピンのネジ切り部分にアンカーピン固定用エポキシ樹脂を塗布してから、気泡の巻込みに注意して挿入する。
(9) アンカーピンを挿入孔最深部まで挿入し、目立たぬ色のパテ状エポキシ樹脂等で仕上げる。
(10) アンカーピン固定部は、夏期では 15時間程度、冬期では24時間程度、衝撃を与えないようにし、降雨等からも養生を行う。
(11) 注入部以外に付着した材料は、適切な方法で除去し、清掃する。
(12) アンカーピン固定部のエポキシ樹脂の広がり、固着状況について全数テストハンマーの打診により確認を行い、その結果を監督職員に提出する。
4.4.11 アンカーピンニング全面エポキシ樹脂注入工法
(1) 浮き部分に対するアンカーピン本数及び注入口の数は、特記による。
特記がなければ、表4.4.3 による。
ただし、浮き面積が1m2以下の場合は、図 4.4.2 に示す標準配置グリッドを当てはめた最大本数程度とする。
また、狭幅部 (幅200mm以下で帯状にはく離している幅の狭い箇所) のアンカーピン及び注入口の配置は図4.4.2 に示すとおり、幅中央に各々5本/mとする。
(2) アンカーピン固定部の施工は、4.4.10(2)から(11)までによる。
(3) テストハンマー等により残存浮き範囲を再確認し、残存浮き部分への注入口の位置をチョーク等でマーキングする。
(4) 注入口の穿孔は、アンカーピン固定部の硬化を待って、マーキング位置に従って4.4.10の(2)から(5)までに準じて行う。
ただし、穿孔は、構造体コンクリートに5mm 程度の深さまで行う。
(5) 注入口への注入材料は、注入用エポキシ樹脂とし、製造所の仕様により調合し、均一になるまで混練りする。
(6) 浮き部への注入は、手動式注入器により注入口から注入材料が漏れないように注意して、残存浮き内に内圧がかからないように下部から上部へ、片端部から他端部へ、打診しながら残存浮き部全面に注入する。
必要に応じて、浮き部周囲に共浮き防止のアンカーピンニングを実施する。
なお、注入量は、特記による。
特記がなければ、注入口1か所当たり25mLとする。
(7) エポキシ樹脂注入部分は、注入後 24 時間程度は振動や衝撃を与えないよう養生を行う。
(8) 硬化後、注入部以外に付着した材料を、適切な方法で除去し、清掃する。
(9) 注入材料の注入状態を次により確認し、その結果を監督職員に提出する。
(ア) 注入材料の硬化後、アンカーピン固定部、注入部及びその周辺500mm程度にわたり打診により確認を行う。
(イ) 浮きが確認された場合は、直ちに(ア)による確認結果を監督職員に報告する。
(ウ) 確認された浮き部の補修は、監督職員の承諾を受けて行う。
4.4.12 アンカーピンニング全面ポリマーセメントスラリー注入工法
(1) アンカーピン固定部の施工及び注入口の穿孔は、4.4.11の(1)から(4)までによる。
(2) 注入口への注入材料は、ポリマーセメントスラリーとし、製造所の仕様により調合し、均一になるまで混練りし、ふるいにより、ろ過する。
(3) 注入により、ポリマーセメントスラリーが流出するおそれのある、ひび割れ、開口部、出隅部等は、次により確実にシールする。
(ア) シール方法は、ポリマーセメントスラリーの製造所の仕様による。
(イ) シール材は、適切な養生期間をとり、タックフリーになるまで指触しない。
また、降雨等からも養生する。
(4) 注入は、次により、注入量は特記による。
特記がなければ、注入口1か所当たり50mLとする。
(ア) 残存浮き部に注入圧力 0.1~0.25N/mm2となるように注入する。
(イ) 注入状態を打診により確認しながら、ポリマーセメントスラリーが流出しないよう注入する。
流出した場合は、直ちに注入を中止する。
(ウ) 注入順序は、残存浮き範囲が広い場合は、一気に注入せず、数回に分けて行う。
(エ) 注入の終わった注入口は、コルク、木栓等で仮止し、ポリマーセメントスラリーが固まった後に、ポリマーセメントモルタル等で平滑に孔埋めを行う。
(5) ポリマーセメントスラリー注入部分は、注入後3日間は振動や衝撃を与えないよう養生を行う。
(6) 注入部以外に付着した材料は、適切な方法で除去し、清掃する。
(7) 確認は、4.4.11(9)による。
4.4.13 注入口付アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法
(1) 浮き部分の補修に使用する注入口付アンカーピンの本数は、特記による。
特記がなければ、一般部分は9本/m2、指定部分 (見上げ面、ひさしのはな、まぐさ隅角部分等をいう。) は 16本/m2とする。
ただし、浮き面積が1m2以下の場合は図4.4.3に示す標準グリッドを当てはめた最大本数程度とする。
また、狭幅部 (幅200mm 以下で帯状にはく離している幅の狭い箇所) には、幅中央に5本/mとする。
(2) 注入口付アンカーピンを挿入する孔の穿孔は、コンクリート用振動ドリルを用い、同ドリル径は注入口付アンカーピンの製造所の仕様による。
穿孔は、壁面に対し直角に行い、マーキングに従って、構造体コンクリート中に20mm以上の深さに達するまで行う。
(3) 穿孔後は、孔内をブラシ等で清掃後、圧搾空気、吸引機等で接着の妨げとなる切粉等を除去する。
(4) 穿孔内の乾燥状況を確認し、湿潤状態の時は監督職員と協議を行う。
(5) 穿孔部の浮き代を確認し、(9)による注入量に疑義がある場合又は著しい浮きが確認された場合は、監督職員と協議を行う。
(6) 使用する注入口付アンカーピンの長さは、モルタルの厚みに+20mm以上とする。
(7) 注入口付アンカーピンを孔に挿入し、ハンマーで軽く叩いてモルタルの面まで打ち込んだ後、専用の打込み工具で先端の開脚部を拡張し、注入口付アンカーピンを固着する。
(8) 注入するエポキシ樹脂は、製造所の仕様により、均一になるまで混練りする。
(9) 注入用エポキシ樹脂は手動式注入器を用い、注入口から徐々に注入する。
注入量は、特記による。
特記がなければ、注入口1か所当たり25mLとする。
(10) 注入口は目立たぬ色のパテ状エポキシ樹脂等で仕上げる。
(11) 注入部以外に付着した材料は、適切な方法で除去し、清掃する。
(12) 確認は、4.4.10(12)による。
4.4.14 注入口付アンカーピンニング全面エポキシ樹脂注入工法
(1) 浮き部分の補修に使用する注入口付アンカーピンの本数は、特記による。
特記がなければ、表4.4.4による。
ただし、浮き面積が1m2以下の場合は図4.4.4に示す標準グリッドを当てはめた最大本数程度とする。
また、狭幅部 (幅200mm以下で帯状にはく離している幅の狭い箇所)のアンカーピン及び注入口の配置は図4.4.4に示すとおり、幅中央に各々5本/mとする。
(2) 注入口付アンカーピン固定部の施工は、4.4.13(2)から(11)までによる。
(3) テストハンマー等により残存浮き範囲を再確認し、残存浮き部分への注入口の位置をチョーク等でマーキングする。
(4) 注入口の穿孔は、注入口付アンカーピン固定部の硬化を待って、マーキング位置に従って4.4.10 の(2)から(5)までに準じて行う。
ただし、穿孔は、構造体コンクリートに約5mm の深さまで行う。
(5) 注入口への注入材料は、エポキシ樹脂とし、製造所の仕様により調合し、均一になるまで混練りする。
(6) 浮き部への注入は、手動式注入器により注入口から注入材料が漏れないように注意して、残存浮き内に内圧がかからないように下部から上部へ、片端部から他端部へ、打診しながら残存浮き部全面に注入する。
なお、注入量は、特記による。
特記がなければ、注入口1か所当たり25mLとする。
(7) エポキシ樹脂注入部分は、注入後 24 時間程度は振動や衝撃を与えないよう養生を行う。
(8) 硬化後、注入部以外に付着した材料を、適切な方法で除去し、清掃する。
(9) 確認は、4.4.11(9)による。
4.4.15 注入口付アンカーピンニング全面ポリマーセメントスラリー注入工法
(1) 注入口付アンカーピン固定部の施工及び注入口の穿孔は、4.4.14 の(1)から(4)までによる。
(2) 注入口への注入材料は、ポリマーセメントスラリーとし、製造所の仕様により調合し、均一になるまで混練りし、ふるいにより、ろ過する。
(3) ひび割れ、開口部、出隅部等の注入により、ポリマーセメントスラリーが流出するおそれのある場合は、次により確実にシールする。
(ア) シール方法は、ポリマーセメントスラリーの製造所の仕様による。
(イ) シール材は、適切な養生期間をとり、タックフリーになるまで指触しない。
また、降雨等からも養生する。
(4) 注入は、次により、注入量は特記による。
特記がなければ、注入口1か所当たり50mLとする。
(ア) 残存浮き部に注入圧力 0.1~0.25N/mm2となるように注入する。
(イ) 注入状態を打診により確認しながら、ポリマーセメントスラリーが流出しないよう注入する。流出した場合は、直ちに注入を中止する。
(ウ) 残存浮き範囲が広い場合の注入順序は、一気に注入せず、数回に分けて行う。
(エ) 注入の終了した注入口は、コルク、木栓等で仮止めし、ポリマーセメントスラリーが固まった後に、ポリマーセメントモルタル等で平滑に穴埋めを行う。
(5) ポリマーセメントスラリー注入部分は、注入後3日間は振動や衝撃を与えないよう養生を行う。
(6) 注入部以外に付着した材料は、適切な方法で除去し、清掃する。
(7) 確認は、4.4.11(9)による。
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