4.6.1 一般事項
この節は、既存の仕上塗材塗り仕上げ等を改修する場合及びコンクリート打放し仕上げ外壁、モルタル塗り仕上げ外壁等に仕上塗材塗りを行う場合に適用する。
4.6.2 仕上塗材仕上げ
(1) 施工に先立ち、見本帳又は見本塗板を監督職員に提出する。
なお、見本塗板は、所要量又は塗厚が工程ごとに確認できるものとする。
(2) 仕上げ工程の放置時間等は、7.1.4[施工一般](8)による。
(3) 施工場所の気温が低い場合は、7.1.6[施工管理](1)による。
(4) 降雨、多湿等により結露のおそれのある場合又は強風時には、原則として行わない。
(5) 仕上げに溶剤を用いる場合は、換気をよくして、溶剤による中毒を起さないようにする。
(6) 所要量等の確認方法は、防水形の仕上塗材の場合、単位面積当たりの使用量によることを標準とする。
また、仕上りの程度の確認は、表4.6.1 による。
(7) シーリング面に仕上塗材仕上げを行う場合は、シーリング材が硬化した後に行うものとし、塗重ね適合性を確認し、必要な処理を行う。
(8) 各種塗料塗りを行う場合は、7章[塗装改修工事]による。
(9) コンクリートの表面のひび割れ部及び欠損部の処置は、3節による。
(10) モルタルの表面のひび割れ部、欠損部及び浮き部の処置は、4節による。
4.6.3 既存塗膜等の除去、下地処理及び下地調整
(1) 既存塗膜の劣化部の除去、下地処理及び下地調整は、次により、工法は特記による。
(ア) サンダー工法
(イ) 高圧水洗工法
(ウ) 塗膜はく離剤工法
(エ) 水洗い工法
(2) 下地調整で、下地調整塗材に代えてポリマーセメントモルタルを使用する場合は、特記による。
(3) サンダー工法は、次による。
(ア) 工程は表 4.6.2により、処理範囲は特記による。
特記がなければ、既存仕上げ面全体とする。
(イ) 高圧水洗機は、粉化物、付着物等の除去に適したものとする。
(4) 高圧水洗工法は、次による。
(ア) 工程は表 4.6.3により、処理範囲は特記による。
特記がなければ、既存仕上げ面全体とする。
(イ) 高圧水洗機の加圧力は、コンクリート表面及び既存塗膜の付着強度により異なるため、試験施工を行い、監督職員の承諾を受ける。
(ウ) 高圧水洗機を使用し、既存塗膜を除去する場合は、施工に関する十分な経験と技能を有する技術者の施工とする。
なお、高圧水による事故の防止に努める。
(エ) 床版下及び厚付け仕上塗材仕上等の場合は、工程3を省略する。
(5) 塗膜はく離剤工法は、次による。
(ア) 工程は表 4.6.4により、処理範囲は特記による。
特記がなければ、既存仕上げ面全体とする。
(イ) 塗膜はく離剤は、試験施工を行い、監督職員の承諾を受ける。
(ウ) 塗膜はく離剤を使用し、既存塗膜を除去する場合は、はく離剤等が残り、新規塗膜に影響を与えることのないよう除去する。
(エ) 床版下及び厚付け仕上塗材仕上等の場合は、工程4を省略する。
(6) 水洗い工法は、次による。
(ア) 工程は表 4.6.5により、処理範囲は特記による。
特記がなければ、(3)から(5)までの処理範囲以外の既存仕上面全面とする。
(イ) 水洗いで、デッキブラシによる水洗いに代えて、高圧水洗機を使用する場合は、粉化物・付着物等の除去に適した加圧力のあるものとし、監督職員の承諾を受ける。
(7) モルタル下地の仕上げは表4.6.6 により、仕上塗材の種類に応じた○印の仕上げとする。
(8) ALCパネル下地の場合、ALCパネル面の欠け、穴等は、ALCパネルの製造所の指定する補修用材料 (既調合のもの) で平滑にする。
(9) 押出成形セメント板下地の場合は、押出成形セメント板面の欠け、表面の傷等を押出成形セメント板の製造所の指定する補修材料で平滑にする。
4.6.4 既存コンクリート打放し仕上げ外壁、既存モルタル塗り仕上げ外壁等の下地調整
既存のコンクリート打放し仕上げ外壁、モルタル塗り仕上げ外壁等に仕上塗材塗りを行う場合の下地調整は、次による。
(ア) コンクリート面の下地調整は、次による。
(a) 目違いは、サンダー掛け等により取り除く。
(b) 下地面の清掃を行う。
(c) 下地調整塗材C-2を、1~2mm程度全面に塗り付けて、平滑にする。
ただし、スラブ下等の見上げ面及び厚付け仕上塗材仕上げ等の場合は、省略する。
(d) 下地の不陸調整厚さが1mm 以下の場合は、(c)の下地調整塗材C-2に代えて、下地調整塗材C-1を平滑に塗付けることができる。
(e) 下地の不陸調整厚さが3mmを超えて 10mm以下の場合は、(c)の下地調整塗材C-2に代えて、下地調整塗材CM-2を平滑に塗り付ける。
(イ) モルタル、プラスター及びプレキャストコンクリート面の下地調整は、次による。
(a) 下地面の清掃を行う。
(b) 合成樹指エマルションシーラーを全面に塗り付ける。
ただし、仕上塗材の下塗材で代用する場合は、省略することができる。
(ウ) ALCパネル面の下地調整は、次による。
(a) 下地面の清掃を行う。
(b) 合成樹脂エマルションシーラーを全面に塗り付ける。
ただし、下地調整塗材Eで代用する場合は、省略することができる。
(c) 仕上塗材の製造所の仕様により下地調整塗材C-1又は下地調整塗材Eを全面に塗り付けて、平滑にする。
ただし、外装薄塗材S仕上げの場合は、下地調整塗材C-2を全面に塗り付けて、平滑にする。
(エ) 押出成形セメント板面の下地調整は、次による。
(a) 下地面の清掃を行う。
(b) 日本建築学会材料規格JASS 18 M-201[反応形合成樹脂シーラーおよび弱溶剤系反応硬化形合成樹脂シーラー]に基づく塗料を全面に塗り付ける。
なお、仕上塗材の製造所の仕様により、下塗材をJASS 18 M-201 に基づく塗料で、代用することができる。
4.6.5 工法
(1) 外装薄塗材Si及び可とう形外装薄塗材Siは、次による。
(ア) 材料の練混ぜは、仕上塗材の製造所の指定する水の量で均一になるように行う。
ただし、溶剤系の下塗材の場合は、仕上塗材の製造所の指定する量の専用薄め液で均一になるように行う。
(イ) 下塗りは、だれ、塗残しのないように均一に塗り付ける。
(ウ) 主材塗りは、次による。
(a) 吹付けの場合、見本と同様の模様で均一に仕上がるように、、仕上塗材の製造所の指定する吹付け条件により吹き付ける。
(b) ローラー塗りの場合、見本と同様の模様で均一に仕上がるように、所定のローラーを用いて塗り付ける。
(2) 外装薄塗材E及び可とう形外装薄塗材Eは、次による。
(ア) 材料の練混ぜは、(1)(ア)による。
(イ) 下塗りは、(1)(イ)による。
(ウ) 主材塗りは、次による。
(a) 吹付けの場合は、(1)(ウ)(a)による。
(b) ローラー塗りの場合は、(1)(ウ)(b)による。
(c) こて塗りの場合は、見本と同様の模様で均一に仕上がるように、所定のこてを用いて塗り付ける。
(3) 防水形外装薄塗材Eは、次による。
(ア) 材料の練混ぜは、(1)(ア)による。
(イ) 下塗りは、(1)(イ)による。
(ウ) 増塗りは、出隅、入隅、目地部、開口部回り等にはけ又はローラーにより、端部に段差のないように塗り付ける。
(エ) 主材塗りは、次による。
(a) 基層塗りは、だれ、ピンホール、塗残しのないよう下地を覆うように均一に塗り付ける。
(b) 模様塗りは、次による。
① 吹付けの場合は、(1)(ウ)(a)による。
② ローラー塗りの場合は、(1)(ウ)(b)による。
(4) 外装薄塗材Sは、次による。
(ア) 材料の練混ぜは、仕上塗材の製造所の指定する量の専用薄め液で均一になるように行う。
(イ) 下塗りは、(1)(イ)による。
(ウ) 主材塗りは、(1)(ウ)(a)による。
(5) 外装厚塗材Cは、次による。
(ア) 材料の練混ぜは、仕上塗材の製造所の指定する水の量で均一になるように行う。
ただし、溶剤系の下塗材及び上塗材の場合は、仕上塗材の製造所の指定する量の専用薄め液で均一になるように行う。
なお、練混ぜ量は、仕上塗材の製造所の指定する可使時間内に使い終わる量とする。
(イ) 下塗りは、(1)(イ)による。
(ウ) 主材塗りは、次による。
(a) 吹付けの場合は、次による。
① 基層塗りと模様塗りの2回とする。
② 基層塗りは、だれ、ピンホール及び塗残しのないよう下地を覆うように塗り付ける。
③ 模様塗りは、(1)(ウ)(a)による。
④ 凸部処理は、模様塗りの後に、見本塗板と同様の模様になるように、こて又はローラーにより押さえる。
(b) こて塗りの場合は、(2)(ウ)(c)による。
(エ) 上塗材を用いる場合は、上塗りは、2回塗りとし、色むら、だれ、光沢むら等が生じないように均一に、はけ、ローラー又はスプレーガンにより塗り付ける。
(6) 外装厚塗材Si及び外装厚塗材Eは、次による。
(ア) 材料の練混ぜは、仕上塗材の製造所の指定する水の量で均一になるように行う。
ただし、溶剤系の下塗材又は上塗材の場合は、仕上塗材の製造所の指定する量の専用薄め液で均一になるように行う。
(イ) 下塗りは、(1)(イ)による。
(ウ) 主材塗りは、次による。
(a) 吹付けの場合は、(5)(ウ)(a)による。
(b) ローラー塗りの場合は、(1)(ウ)(b)による。
(c) こて塗りの場合は、(2)(ウ)(c)による。
(エ) 上塗りは、(5)(エ)による。
(7) 複層塗材CE及び複層塗材REは、次による。
(ア) 材料の練混ぜ
(a) 材料の練混ぜは、(5)(ア)による。
(b) 溶剤系の下塗材又は上塗材の場合は、仕上塗材の製造所の指定する量の専用薄め液で均一に薄める。
(c) 2液形上塗材は、薄める前に基剤と硬化剤を仕上塗材の製造所の指定の割合で混ぜ合わせる。
(イ) 下塗りは、(1)(イ)による。
(ウ) 主材塗りは、次による。
(a) 吹付けの場合は、(5)(ウ)(a)による。
(b) ローラー塗りの場合は、(1)(ウ)(b)による。
(エ) 上塗りは、次による。
(a) 上塗材の所要量は、メタリックの場合は 0.4㎏/m2以上とする。
また、上塗りの工程を3回以上とし、第1回目はクリヤー又はメタリックと同系色のエナメルを塗り付け、最上層はクリヤーとする。
(b) (a)以外の場合は、上塗りは、(5)(エ)による。
(8) 複層塗材Si及び複層塗材Eは、次による。
(ア) 材料の練混ぜは、(6)(ア)及び(7)(ア)(c)による。
(イ) 下塗りは、(1)(イ)による。
(ウ) 主材塗りは、(7)(ウ)による。
(エ) 上塗りは、(7)(エ)による。
(9) 可とう形複層塗材CEは、次による。
(ア) 材料の練混ぜは、(7)(ア)による。
(イ) 下塗りは、(1)(イ)による。
(ウ) 主材塗りは、次による。
(a) 吹付けの場合は、次による。
① 基層塗りは、(3)(エ)(a)による。
② 模様塗りは、(1)(ウ)(a)による。
③ 凸部処理は、(5)(ウ)(a)④による。
(b) ローラー塗りの場合は、(1)(ウ)(b)による。
(エ) 上塗りは、(7)(エ)(b)による。
(10) 防水形複層塗材CE及び防水形複層塗材REは、次による。
(ア) 材料の練混ぜは、(7)(ア)による。
(イ) 下塗りは、(1)(イ)による。
(ウ) 増塗りは、(3)(ウ)による。
(エ) 主材塗りは、次による。
(a) 基層塗りは、2回塗りとし、だれ、ピンホール及び塗残しのないよう下地を覆うように塗り付ける。
(b) 模様塗りは、(3)(エ)(b)による。
(オ) 上塗りは、(7)(エ)(b)による。
(11) 防水形複層塗材Eは、次による。
(ア) 材料の練混ぜは、(8)(ア)による。
(イ) 下塗りは、(1)(イ)による。
(ウ) 増塗りは、(3)(ウ)による。
(エ) 主材塗りは、(10)(エ)による。
(オ) 上塗りは、(7)(エ)(b)による。
(12) 可とう形改修塗材Eは、次による。
(ア) 材料の練混ぜは、仕上塗材の製造所の指定する水の量で均一に行う。
ただし、溶剤系の上塗材の場合は、指定量の専用薄め液で均一に行う。
なお、2液形上塗材は、(7)(ア)(c)による。
(イ) 主材塗りは、(3)(エ)(b)による。
(ウ) 上塗りは、(7)(エ)(b)による。
(13) 可とう形改修塗材RE及び可とう形改修塗材CEは、次による。
(ア) 材料の練混ぜは、(12)(ア)による。
なお、練混ぜ量は、仕上塗材の製造所の指定する可使時間内に使い終わる量とする。
(イ) 主材塗りは、(3)(エ)(b)による。
(ウ) 上塗りは、(7)(エ)(b)による。
4.6.6 部分改修工法
部分改修工法は、次による。
(ア) 薄付け仕上塗材の場合は、4.6.5 の(1)から(4)までにより、既存部分との模様合わせを行い、全面に上塗補修材又は可とう形改修塗材を塗る。
(イ) 厚付け仕上塗材及び複層仕上塗材の場合は、4.6.5 の(5)から(9)までにより、下塗材及び主材で既存部分との模様合わせを行い、全面に上塗材又は可とう形改修塗材を塗る。
(ウ) 防水形複層仕上塗材の場合は、4.6.5 の(10)から(12)までにより、下塗材及び主材で既存部分との模様合わせを行い、全面に上塗材を塗る。
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