4.3.1 一般事項
この節は、コンクリート打放し仕上げ外壁の改修に適用する。
4.3.2 ひび割れ部改修共通事項
外壁ひび割れ部から漏水している場合又はひび割れ部から錆汁がでている場合は、事前に監督職員と協議を行う。
4.3.3 欠損部改修共通事項
(1) 欠損部周辺のぜい弱部分は、ハンマー等で軽い打撃を与えて除去し、欠損部の状況を目視によって確認する。
(2) 下地部分は、ワイヤーブラシ等でケレンし、汚れ、ほこり、油等の除去・清掃を行う。
また、部分的に露出している鉄筋、アンカー金物等がある場合、監督職員と協議し、健全部が露出するまでコンクリートをはつり、ワイヤーブラシ等でケレンを行い錆を除去し、鉄筋コンクリート用防錆剤等を塗り付け、防錆処理を行う。
(3) 損傷が著しい部分の下地処理、補強等は、監督職員と協議する。
4.3.4 樹脂注入工法
(1) エポキシ樹脂注入の施工に当たり、使用した注入量を測定し、監督職員に報告し、必要に応じて、協議を行う。
(2) 注入工法は、次により、種類は特記による。
特記がなければ、自動式低圧エポキシ樹脂注入工法とする。
(ア) 自動式低圧エポキシ樹脂注入工法
(イ) 手動式エポキシ樹脂注入工法
(ウ) 機械式エポキシ樹脂注入工法
(3) 自動式低圧エポキシ樹脂注入工法は、次による。
(ア) ひび割れに沿って幅50mm程度の汚れを除去し、清掃する。
(イ) 注入間隔は、特記による。
特記がなければ、200~300mm間隔とする。
(ウ) 注入器具又は台座をひび割れが中心にくるようにして、仮止めシール材等で取り付ける。
(エ) 仮止めシール材は、シール材の製造所の仕様により、2成分形の場合は、主剤と硬化剤を正確に計量し、均一になるまで混練りする。
(オ) ひび割れ部に沿って仮止めシール材をパテへら等で幅30mm、厚さ2mm程度にシールする。
なお、裏面に注入材料が漏れるおそれのある場合は、監督職員と協議し、裏面に仮止めシール材を行うか、又は、裏面から流出しない粘度の注入材を使用する。
(カ) エポキシ樹脂の注入量は、特記による。
(キ) エポキシ樹脂注入材料は、エポキシ樹脂注入材の製造所の仕様により、主剤と硬化剤を正確に計量し、均一になるまで混練りする。
(ク) 混練りしたエポキシ樹脂を注入器具に入れ、ゴム、バネ、空気圧等により、注入圧を0.4N/mm2以下として注入する。
(ケ) 注入時は、台座やシール部からの漏れをチェックし、注入器具内のエポキシ樹脂の減量状態を確認して、足りない場合は補充する。
なお、注入完了後は、注入器具を取り付けたまま硬化養生をする。
(コ)エポキシ樹脂注入材の硬化を見計らい、仮止めシール材及び注入器具を適切な方法で撤去し、清掃を行う。
(4) 手動式エポキシ樹脂注入工法は、次による。
(ア) 注入口間隔は、特記による。
注入位置をスケール等で測定し、チョーク等で位置のマーキングを行う。
(イ) ひび割れ部に座金付き注入パイプを取り付ける。
注入口を穿孔して注入パイプを取り付ける場合は、穿孔内の切粉を圧搾空気等で除去する。
(ウ) 混練りしたエポキシ樹脂を手動式注入器に入れ、注入器のノズルを注入孔のゴムパッキンに押し付け、ゆっくり注入する。
(エ) 注入時は、台座やシール部からの漏れをチェックし、注入圧の加減をする。
垂直方向のひび割れは、下部の注入口から上部へ順次注入する。
水平方向のひび割れは、片端部の注入口から他端へ順次注入する。
なお、注入完了後は、注入口を密封したまま硬化養生をする。
(オ) (ア)から(エ)まで以外は、(3)の(ア)、(エ)から(キ)まで及び(コ)による。
(5) 機械式エポキシ樹脂注入工法は、次による。
(ア) 注入口間隔は、特記による。
注入位置をスケール等で測定し、チョーク等で位置のマーキングを行う。
(イ) 注入口を設けるため、注入口位置にテープやゴムパッキン等を取り付ける。
注入口になる箇所が目詰まりしている場合は、サンダーやドリル等を用いて注入口を確保する。
(ウ) エポキシ樹脂の主剤と硬化剤を注入機の所定の箇所に別々に入れ、注入機のノズルを注入口に押し当てて、エポキシ樹脂を注入する。
(エ) (ア)から(ウ)まで以外は、(3)の(ア)、(エ)から(カ)まで及び(コ)並びに(4)(エ)による。
(6) ひび割れ部の注入状況の確認方法は、特記による。
特記がなければ、コアの抜き取りとし、次による。
なお、確認結果を監督職員に提出する。
(a) コアの抜取り個数は、特記による。
特記がなければ、長さ 500mごと及びその端数につき1個のコアを採取する。
(b) コアの形状は、径50mm、深さ70mmとする。
(c) 抜取り部分の補修方法は、特記による。
4.3.5 Uカットシール材充填工法
(1) プライマーの塗布及び充填時に被着体が5℃以下又は 50℃以上になるおそれのある場合は、作業を中止する。
やむを得ず作業を行う場合は、仮囲い、シート覆い等による保温又は遮熱を行うなどの措置を講ずる。
(2) シール材の仕上り状態及び硬化状態を目視及び指触により確認する。
(3) ひび割れ部の措置は、次による。
(ア) ひび割れ部に沿って電動カッター等を用いて幅10mm 程度、深さ 10~15mm 程度にU字型の溝を設ける。
(イ) Uカット溝内部に付着している切片、粉じん等は、ワイヤーブラシ、はけ等で除去する。
(ウ) 被着体に適したプライマーを溝内部に塗残しのないよう均一に塗布する。
(エ) プライマー塗布後、ごみ、ほこり等が付着した場合又は当日充填ができない場合は再清掃し、プライマーを再塗布する。
(4) 充填は、次による。
(ア) シーリング材を充填する場合
(a) シーリング材が隅々まで行きわたるようにコーキングガンのノズルをUカット溝に当て、加圧しながら空隙、打残しがないように充填し、へらで押え下地と密着させて表面を平滑に仕上げる。
(b) 2成分形シーリング材は、シール材の製造所の指定する配合により、可使時間に見合った量を、練り混ぜて使用する。
(c) 2成分形シーリング材を用いて充填する場合は、1組の作業班が1日に行った施工箇所を1ロットとして、各ロットごとにサンプリングを行う。
なお、サンプリング試料は、整理して監督職員に提出する。
(d) シーリング材のうえにポリマーセメントモルタルを充填する場合は、次による。
① シーリング材は、コンクリート表面から3~5mm 程度低めに充填し、充填後は、へらで押え、下地と密着させて表面を落とし仕上げとする。
② ポリマーセメントモルタルをコンクリート表面に合わせて平滑に塗り込む。
(e) シーリング材の試験は、3.7.8[シーリング材の試験]による。
(イ) 可とう性エポキシ樹脂を充填する場合
(a) 可とう性エポキシ樹脂を入れたコーキングガンのノズルをUカット溝に当て充填する。
充填後は、へらで押え、下地と密着させて表面を平滑に仕上げる。
なお、補修部の上に仕上塗材、塗料等を施工する場合は、充填後、可とう性エポキシ樹脂が硬化しないうちに、その表面にけい砂を散布する。
(b) 可とう性エポキシ樹脂は、可とう性エポキシ樹脂の製造所の仕様により、均一になるまで混練りする。
(5) 養生及び清掃は、次による。
(ア) シール材が硬化するまでは汚損等のないようにするとともに降雨等からも養生する。
(イ) 充填部以外に、付着した汚れ等を適切な方法で除去し、清掃する。
4.3.6 シール工法
(1) プライマーの塗布及び充填時に被着体が5℃以下又は 50℃以上になるおそれのある場合は、作業を中止する。
やむを得ず作業を行う場合は、仮囲い、シート覆い等による保温又は遮熱を行うなどの措置を講ずる。
(2) ひび割れ部シール工法は、次による。
(ア) ひび割れ部の清掃は、4.3.4(3)(ア)による。
(イ) シール材は製造所の仕様により、均一になるまで混練りする。
(ウ) プライマーを塗布した後、シール材をパテへら等で幅 10mm、厚さ2mm程度に塗布し、その表面を平滑に仕上げる。
なお、プライマーは、シール材の製造所の指定する製品とする。
(エ) 補修部の上に仕上塗材仕上げ等を行う場合は、塗り重ね適合性を確認し、必要な処理を行う。
(3) 養生は、4.3.5(5)(ア)による。
(4) シール部以外に付着した汚れ等は、適切な方法で除去し、清掃する。
4.3.7 充填工法
(1) プライマーの塗布及び充填時に被着体が5℃以下又は 50℃以上になるおそれのある場合は、作業を中止する。
やむを得ず作業を行う場合は、仮囲い、シート覆い等による保温又は遮熱を行うなどの措置を講ずる。
(2) エポキシ樹脂モルタルを充填する場合は、次による。
(ア) 欠損部のぜい弱部分をハンマー等で取り除き、プライマーを被着面にはけを用いて塗布する。
(イ) エポキシ樹脂モルタルは、エポキシ樹脂モルタルの製造所の仕様により、均一になるまで混練りする。
(ウ) プライマーの粘着性のあるうちに、エポキシ樹脂モルタルを充填し、表面を金ごてで加圧しながら平滑に仕上げる。
(エ) 仕上げ後、夏期では15時間以上、冬期では24 時間以上養生を行う。
(オ) 補修部以外に付着した材料は、適切な方法で除去し、清掃する。
(3) ポリマーセメントモルタルを充填又は塗り付ける場合は、次による。
(ア) 欠損部のぜい弱部分をハンマー等で取り除き、プライマーを被着面にはけを用いて塗布する。
(イ) ポリマーセメントモルタルは、ポリマーセメントモルタルの製造所の仕様により、調合し混練りする。
(ウ) はがれの状況により、1~3層に分けてポリマーセメントモルタルを充填又は塗り付ける。
各層の塗り厚は7mm程度とし、表面を金ごてで加圧しながら平滑に仕上げる。
(エ) 各層共、急激な乾燥を避け、適切な養生を行う。
(オ) 補修部以外に付着した材料は、適切な方法で除去し、清掃する。
(カ) ポリマーセメントモルタルが硬化するまでは汚損等ないようにするとともに降雨等からも養生する。
(4) 確認は、次による。
充填材の仕上り状態及び硬化状態を目視及び指触により確認し、その結果を監督職員に提出する。
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