3.3.1 一般事項
この節は、新設する防水層に溶融アスファルトとアスファルトルーフィング類を交互に積層して施工する防水に適用する。
3.3.2 材料
(1) アスファルトプライマーは、アスファルトを主成分としたもので、アスファルトの接着に適したアスファルトルーフィング類の製造所の指定する製品とする。
(2) アスファルトは、3.2.2(ア)による。
(3) アスファルトルーフィング類
(ア) アスファルトルーフィングは、JIS A 6005 (アスファルトルーフィングフェルト) に基づくアスファルトルーフィング1500とする。
(イ) 砂付ストレッチルーフィングは、JIS A 6022 (ストレッチアスファルトルーフィングフェルト) による。
(ウ) 網状アスファルトルーフィングは、JIS A 6012 (網状アスファルトルーフィング) に基づく合成繊維ルーフィングとする。
(エ) 砂付あなあきルーフィングは、JIS A 6023 (あなあきアスファルトルーフィングフェルト)による。
(オ) ストレッチルーフィングは、JIS A 6022に基づくストレッチルーフィング 1000とする。
(カ) 改質アスファルトルーフィングシートは、JIS A 6013 (改質アスファルトルーフィングシート) に基づき、種類及び厚さは、特記による。
特記がなければ、表3.3.3 から表3.3.9までによる。
(キ) 部分粘着層付改質アスファルトルーフィングシートは、JIS A 6013 に基づき、種類及び厚さは、特記による。
特記がなければ、表3.3.3 から表3.3.9までによる。
なお、粘着層は強風による飛散、浮き等が生じないための負圧抵抗性能を有しているものとし、アスファルトルーフィング類の製造所の指定する製品とする。
(4) 防水層端部の止水に用いるアスファルト防水工事用シール材は、3.2.2(イ)による。
(5) 絶縁用テープは、アスファルトルーフィング類の製造所の指定の製品とする。
(6) 押え金物の材質及び形状寸法は、特記による。
特記がなければ、アルミニウム製L-30×15×2.0(mm)程度とする。
(7) 入隅に成形キャント材を使用する場合は、アスファルトルーフィング類の製造所の指定する製品とする。
(8) 屋根保護防水断熱工法に用いる断熱材は、JIS A 9521 (建築用断熱材) に基づく押出法ポリスチレンフォーム断熱材3種bA(スキン層付き)とし、厚さは、特記による。
(9) 屋根露出防水断熱工法に用いる断熱材は、JIS A 9521 に基づく発泡プラスチック断熱材とし、種類及び厚さは、特記による。
ただし、硬質ウレタンフォーム断熱材2種1号又は2号の場合は、透湿係数を除くJIS A 9521 の規格に準ずるものとする。
(10) 絶縁用シートに使用する材料は、特記による。
特記がなければ、屋根保護防水密着工法又は屋根保護防水絶縁工法の場合は、ポリエチレンフィルム厚さ 0.15mm以上とし、屋根保護防水密着断熱工法又は屋根保護防水絶縁断熱工法の場合は、ポリプロピレン、ポリエチレン等を平織りしたフラットヤーンクロス (70g/m2程度) とする。
(11) 成形伸縮目地材
(ア) 形状及び寸法
目地幅は25mm、本体は目地幅の80%以上、保護コンクリートの上面から下面にまで達するよう高さの調節が可能なもので、キャップ側面に付着層又はアンカー部を備えた製品とする。
(イ) 成形伸縮目地材の品質は、表 3.3.1による。
(12) 成形緩衝材は、アスファルトルーフィング類の製造所の指定する製品とする。
(13) 保護コンクリート
(ア) 保護コンクリートは、8章 11節[無筋コンクリート]による。
(イ) 保護コンクリート内に敷設する溶接金網は、JIS G 3551 (溶接金網及び鉄筋格子) に基づき、鉄線の径6mm、網目寸法100mmの製品とする。
(14) 立上り部の保護の乾式保護材は、特記による。
(15) 立上り部の保護のれんがは、特記による。
特記がなければ、JIS R 1250 (普通れんが及び化粧れんが) による。
(16) メタルラスは、JIS A 5505 (メタルラス) に基づく平ラスF500とする。
(17) モルタルの調合は、表3.3.2による。
3.3.3 種別及び工程
(1) 屋根保護防水は、次による。
(ア) P1B工法は、次による。
新規防水層の種別及び工程は、表3.3.3により、種別は特記による。
(イ) P1BI工法及びT1BI工法は、次による。
新規防水層の種別及び工程は、表3.3.4により、種別は特記による。
(ウ) P2AI工法は、次による。
新規防水層の種別及び工程は、表3.3.5により、種別は特記による。
(エ) P2A工法は、次による。
新規防水層の種別及び工程は、表3.3.6により、種別は特記による。
(2) 屋根露出防水は、次による。
(ア) M4C工法は、次による。
新規防水層の種別及び工程は、表3.3.7により、種別は特記による。
(イ) M3D工法及びP0D工法は、次による。
新規防水層の種別及び工程は、表3.3.8により、種別は特記による。
なお、脱気装置の種類及び設置数量は、特記による。
特記がなければ、アスファルトルーフィング類の製造所の指定とする。
(3) 屋根露出防水絶縁断熱工法は、次による。
P0DI工法、M3DI工法及びM4DI工法の新規防水層の種別及び工程は、表3.3.9 により、種別は特記による。
なお、脱気装置の種類及び設置数量は、特記による。
特記がなければ、アスファルトルーフィング類の製造所の指定とする。
(4) 屋内防水は、次による。
P1E工法及びP2E工法の新規防水層の種別及び工程は、表3.3.10により、種別は特記による。
なお、保護層を設ける場合は、特記による。
3.3.4 施工
(1) 防水層の下地は、3.2.6による。
(2) アスファルトプライマー塗りは、次による。
コンクリート下地等の場合は次による。
(ア) 下地が十分乾燥した後に清掃を行い、塗布する。
(イ) 塗付けは、アスファルトルーフィング類の張りじまい部まで、均一に行い、乾燥させる。
(ウ) 塗付けは、下地以外の箇所を汚さないように行う。
(3) アスファルトの溶融は、次による。
(ア) アスファルトの溶融がまは、次による。
(a) 設置位置は、可能な限り施工箇所の近くとする。
(b) スラブの上に設置する場合は、熱による悪影響のない構造形態の溶融がまとする。
(c) 既存防水層の上及び完成した新設防水層の上に設置してはならない。
やむを得ず設置する場合は、保護コンクリート等で措置を行った後に、(b)により設置する。
(イ) アスファルトは、局部加熱が生じないよう小塊にして溶融する。
(ウ) アスファルトの溶融温度の上限は、アスファルトの製造所の指定する温度とし、同一アスファルトの溶融を3時間以上続けない。
また、溶融中に異常な色合い等を生じたものは、使用しない。
(エ) 溶融したアスファルトは、施工に適した温度を保つように管理する。
(オ) 屋根保護防水断熱工法の断熱材等の張付け用アスファルトの温度は、断熱材に支障のないものとする。
(4) アスファルトルーフィング類の張付けは、次による。
(ア) 出隅、入隅、下地目地部等は、一般部分の張付けに先立ち、次の増張りを行う。
(a) コンクリートの打継ぎ箇所及び既存目地部分等で防水上不具合のある下地は、幅 50mm程度の絶縁用テープを張り付け、その上に幅300mm 以上のストレッチルーフィングを増張りする。
なお、絶縁工法の場合は、幅50mm 程度の絶縁用テープを張り付け、砂付あなあきルーフィングを敷き込むか、又は、部分粘着層付改質アスファルトルーフィングシートを張り付ける。
(b) プレキャストコンクリート部材の接合部の目地処理は、次による。
① 種別 A-1、A-2、A-3、AI-1、AI-2、AI-3、DI-1、DI-2、E-1 又は E-2 の場合、増張り用シートを両側に100mm程度ずつ張り掛けて絶縁増張りとする。
② 種別 B-1、B-2、B-3、BI-1、BI-2、BI-3、D-1、D-2、D-3又は D-4の場合、幅50mm程度の絶縁用テープを張り付ける。
(c) 出隅、入隅、立上りの出隅及び立上りの入隅の増張りは表3.3.11 による。
(イ) 平場の張付けは、次による。
(a) アスファルトルーフィング類の張付けは、空隙、気泡、しわ等が生じないように均一に押し均して、下層に密着するように行う。
なお、空隙、気泡、しわ等が生じた場合は、各層ごとに直ちに補修する。
(b) 部分粘着層付改質アスファルトルーフィングシートは裏面のはく離紙等をはがしながら、しわが入らないように張り付け、ローラー等により転圧する。
重なり部の処理はアスファルトルーフィング類の製造所の仕様による。
(c) アスファルトルーフィング類の継目は、幅方向、長手方向とも、100mm以上重ね合わせ、水下側のアスファルトルーフィング類を、下側に張り重ねる。
ただし、絶縁工法の場合の砂付あなあきルーフィングの継目には、100×200(mm)程度のルーフィング片を3~4m程度の間隔に置敷きし、通気性を妨げないようにして突付けとする。
また、部分粘着層付改質アスファルトルーフィングシートの幅方向は、 100 ㎜以上重ね合わせ、長手方向は突付けとし、その上に幅200×1,100(㎜)のストレッチルーフィング又は改質アスファルトルーフィングシート (非露出複層防水用R種) をアスファルトで張り付ける。
(d) アスファルトルーフィング類の上下層の継目は、同一箇所としない。
(e) 絶縁工法の立上り際の 500mm 程度は、立上り部の一層目のアスファルトルーフィング類をアスファルトを用いて密着張りとする。
また、密着張りしたアスファルトルーフィング類と平場の砂付あなあきルーフィングは突付けとする。
なお、部分粘着層付改質アスファルトルーフィングシートと密着張りとしたアスファルトルーフィング類の重ね幅は100mm以上とし、アスファルトを用いて張り掛ける。
(f) 立上りと平場のアスファルトルーフィング類は別々に張り付ける。
ただし、立上りの高さが 400mm未満の場合は、平場のアスファルトルーフィング類をそのまま張り上げることができる。
なお、立上がりと平場のアスファルトルーフィング類を別々に張り付ける場合は、立上がり部のアスファルトルーフィング類は各層とも平場のアスファルトルーフィング類に150mm以上張り掛ける。
(g) 屋根露出防水絶縁断熱工法の断熱材は隙間のないように、アスファルトルーフィング類の製造所の仕様により張り付ける。
ルーフドレン回り及び立上り部周辺の断熱材の張りじまい位置は、特記による。
(ウ) 立上り部の張付けは、次による。
(a) 屋根及び屋内の保護防水工法における防水層の立上り部の納まりは、最上層が所定の位置にくるようにし、下層になるほど 30mm 程度ずつ短くして、端部が厚くならないようにし、次に幅100mm程度の網状アスファルトルーフィングを増張りし、溶融アスファルトで目つぶし塗りをして押さえた後、端部にシール材を塗り付ける。
なお、立上りが乾式保護仕上げの場合、所定の位置に各層の端部をそろえ、押え金物で固定した上に、シール材を充填する。
(b) 屋根露出防水工法における防水層の立上り部の納まりは、所定の位置に各層の端部をそろえ、押え金物で固定した上に、シール材を充填する。
(c) 押え金物は、ステンレスビスを用いて、両端を押さえ、間隔450mm以下に留め付ける。
(d) 改質アスファルトルーフィングシート (非露出複層防水用R種) 張りは、アスファルトを用いて張り付ける。
(エ) ルーフドレン、和風便器、配管等との取合いは、次による。
(a) 各層を、よくなじませながら入念に施工する。
(b) ルーフドレン回りは、最下層に 300mm 以上のストレッチルーフィングを用いて、ドレンのつばに 100mm程度、残りをスラブ面に張り掛けて増張りする。
また、ドレン回りの増張りとパラペットの入隅の増張りとが重なる部分は、一方を省略することができる。
① 密着工法の施工は次による。
増張りしたストレッチルーフィングの上まで平場のアスファルトルーフィング類を張り重ねる。
② 絶縁工法の施工は次による。
㋐ 砂付あなあきルーフィングを用いる場合
砂付あなあきルーフィングは増張りしたストレッチルーフィングに突付けとし、増張りしたストレッチルーフィングの上までアスファルトルーフィング類を張り重ねる。
㋑ 部分粘着層付改質アスファルトルーフィングシートを用いる場合
ⓐ 幅 500mm 程度の改質アスファルトルーフィングシートを先に増張りしたストレッチルーフィングに張り掛ける。
改質アスファルトルーフィングシートはドレンのつばに100mm程度張り掛け、残りの400 ㎜程度はドレンの周囲にアスファルトで張り掛ける。
ⓑ ドレンの周囲に張り付けた改質アスファルトルーフィングシートにアスファルトを用いて部分粘着層付改質アスファルトルーフィングシートを100mm以上張り掛ける。
ⓒ 2層目以降のアスファルトルーフィング類は、ドレンの周囲に張り付けた改質アスファルトルーフィングシートの上まで張り重ねる。
(c) 配管回りは、最下層に網状アスファルトルーフィングを増張りし、配管の根元の平場にストレッチルーフィングを 150mm程度張り掛けて増張りする。
なお、絶縁工法における砂付あなあきルーフィングは、増張りしたストレッチルーフィングに突付けとし、部分粘着層付改質アスファルトルーフィングシートは増張りしたストレッチルーフィングに100mm程度アスファルトを用いて、張り付ける。
配管回りの立上りの納まりは、所定の位置に防水層の端部をそろえ、ステンレス製の既製バンドで防水層端部を締め付け、上部にシール材を塗り付ける。
(d) 和風便器は、最下層及び最上層に網状アスファルトルーフィングを増張りする。
3.3.5 保護層等の施工
(1) 入隅部分に成形緩衝材を設ける。
(2) 断熱材は隙間のないように、最終工程のアスファルトにより、入隅の成形緩衝材取合い部分まで張り付ける。
(3) 絶縁用シートの敷込みは、次による。
(ア) 絶縁用シートは、立上り面等に 30mm 程度張り上げる。
(イ) ポリエチレンフィルムは、防水層の施工完了後、重ね幅100mm 程度で敷き並べ、接着テープ、シール材等で要所を固定する。
必要に応じて、強風時のはく離、浮揚防止のため、重ね部分等の要所をモルタルで押さえる。
(ウ) フラットヤーンクロスは、断熱材の上に幅100mm 程度重ねて敷き並べ、接着テープ等で要所を固定する。
(4) 平場の保護コンクリートは、次による。
(ア) 保護コンクリート中に溶接金網を敷き込む。
溶接金網の重ねは、1節半以上、かつ、150mm以上とする。
(イ) コンクリートの厚さは、特記による。
特記がなければ、こて仕上げの場合は、80mm以上とし、床タイル張り等の仕上げの場合は、60mm以上とする。
保護コンクリートは、所定の勾配に仕上げる。
(ウ) こて仕上げの場合は、次による。
(a) 床面の仕上りの平たんさ
① 仕上り面でのむらは、目視により支障がない程度にする。
② コンクリート仕上りの平たんさは、表 8.1.5[コンクリートの仕上りの平たんさの種別]により、種別は特記による。
(b) 工法
① コンクリート打込み後の均しでは、所定の位置と勾配に荒均しを行った後、コンクリートが凝結硬化を始める前に、タンパー等で表面をたたき締め、平たんに敷き均し、コンクリートのひび割れを防止する。
② コンクリートの表面は、所定の位置を保つように、長尺の均し定規を用いて平たんに均す。
ただし、壁際、柱際等で、均しに定規等を使用できない箇所は、不陸が生じないように十分に木ごて等でタンピングして平たんに仕上げる。
③ 中むら取りを木ごてで行う。
④ 踏み板を用いて金ごて押えを行い、セメントペーストを十分に表面に浮き出させる。
⑤ 締まり具合を見て、金ごてで強く押え平滑にする。
⑥ 仕上げ面で、こてむらの著しい箇所は、コンクリート硬化後、グラインダーで平滑に仕上げる。
(c) 表面仕上げ後、コンクリートの硬化状態を見計らい、8.7.7[養生]の養生のほか、ビニルシート等により、表面の保護を行う。
(エ) 屋内防水密着工法で、保護コンクリートに配管を行う場合等は、防水工事完了後、全面に厚さ15mmの保護モルタル塗りを行う。
(5) 立上り部の保護は次により、保護方法は特記による。
(ア) 乾式保護材を用いる場合は、防水工事材料の製造所の仕様による。
(イ) れんが押えの場合は、次による。
(a) れんがの目地幅は、10mm程度とする。
(b) れんが積みは、半枚積みとし、縦目地が、芋目地にならないように、れんが割りをする。
(c) れんがは、付着物を除去し、必要に応じて、吸水させる。
(d) 下地面の清掃を行った後、敷モルタルを行い、平らに積み上げる。
(e) れんが積みは、防水層から20mm 程度離し、その隙間にはモルタルを適切に充填する。
(f) モルタルが急激な乾燥又は凍結のおそれのある場合の施工は、4.1.3[施工一般](2)又は(3)による。
(g) 養生は、次による。
① 目地モルタル及び充填モルタルが十分硬化するまで、有害な振動、衝撃、荷重等を与えないようにし、直射日光又は寒気に対して適切な養生を行う。
② 出隅又は突出部の欠けやすい部分や、踏付け面等の破損のおそれのある部分は、板等を用いて養生を行う。
(ウ) コンクリート押えの場合は、保護コンクリートを上部天端まで確実に充填するように打込む。
また、屋根防水保護層の伸縮調整目地の位置には、7節により、ひび割れ誘発目地を設け、シーリングを行う。
(エ) 屋内等でモルタル押えの場合は、防水層に間隔200mm 程度にとんぼ付けし、メタルラスを取り付けた後、モルタルを、厚さ 30mm程度に塗る。
(6) 伸縮調整目地は、次による。
(ア) 平場の屋根防水保護層は、伸縮調整目地を設ける。
伸縮調整目地の割付けは、周辺の立上り部の仕上り面から600mm程度とし、中間部は縦横間隔3,000mm 程度とする。
また、伸縮調整目地は、排水溝を含めて、立上りの仕上り面に達するものとする。
(イ) 伸縮調整目地に用いる材料は成形伸縮目地材とし、目地材の製造所の仕様により所定の高さに設置し、保護コンクリートを打込む。
(7) 屋上排水溝の適用は、特記による。
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