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2節 既存防水層の処理/3章 防水改修工事/平成31年版 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)

3.2.1 一般事項

この節は、既存防水の保護層や防水層等の撤去並びに新設する防水層の既存下地の処理に適用する。

3.2.2 材料

新設する防水層の既存下地の補修に使用する材料は、次による。

(ア) アスファルトは、JIS K 2207 (石油アスファルト) に基づく防水工事用アスファルトとし、種類は、3種とする。

(イ) アスファルト防水工事用シール材は、アスファルトルーフィング又は改質アスファルトルーフィングシートとの接着に適したものとし、アスファルトルーフィング類の製造所の指定による。

(ウ) シーリング材は、3.7.2により、種類は主防水材の製造所の指定する種類とする。
ただし、ブチルゴム系シーリング材は、主防水材の製造所の指定による。

(エ) 樹脂注入工法に使用するエポキシ樹脂は、4.2.2[工法別使用材料](1)による。

(オ) その他
ポリマーセメントモルタル、ポリマーセメントペースト、層間接着用プライマー、アスファルト系下地調整材、改修用ドレン等の材料は、主防水材の製造所の指定する製品とする。

3.2.3 既存保護層等の撤去

既存保護層等の撤去は、次による。

(ア) 保護コンクリート、れんが、モルタル笠木等の撤去は、ハンドブレーカー等を使用し、取合い部の仕上げ、構造体等に影響を及ぼさないように行う。

(イ) 既存防水層非撤去の場合は、既存防水層に穴をあけない。

(ウ) やむを得ず、質量 15kg 以上のハンドブレーカー等を使用する場合は、監督職員と協議する。

(エ) コンクリート中の鉄筋等を切断する場合は、撤去面より深い位置で切断しポリマーセメントモルタル等で平滑に仕上げる。

(オ) 平場の既存保護層等を残し、改修用ドレンを設けない場合は、ルーフドレン端部から 500mm程度まで保護コンクリート等の既存保護層を四角形に撤去する。

3.2.4 既存防水層の撤去

既存防水層の撤去は、次による。

(ア) 平場及び立上り部の既存防水層 (T1BI工法の場合は、断熱材を含む。) の撤去は、既存下地に損傷を与えない。

(イ) 3.2.3(オ)により、既存保護層を撤去した後のルーフドレン周囲は、既存下地に損傷を与えないように、ルーフドレン端部から 300mm程度まで既存防水層を四角形に撤去する。

(ウ) P2A工法、P2AI工法、M4AS工法、M4ASI工法、M4C工法、M4DI工法、M4S工法、M4SI工法、S4S工法、S4SI工法、L4X工法、P2E工法及びP2Y工法のルーフドレン周囲の既存防水層は、ルーフドレン端部から 300mm 程度まで、既存防水層を四角形に撤去する。

3.2.5 ルーフドレン回りの処理

(1) ルーフドレンの損傷、腐食、納まり等により、漏水のおそれがある場合は、監督職員と協議する。

(2) 既存の防水層及び保護層の撤去端部は、既存の防水層や保護層を含め、ポリマーセメントモルタルで、勾配1/2程度に仕上げる。

(3) P0AS工法、P0ASI工法、P0D工法、P0DI工法、P0S工法、P0SI工法及びP0X工法において、改修用ドレンを設ける場合は、特記による。
なお、取付け方法等は、主防水材の製造所の仕様による。

3.2.6 既存下地の処理

(1) 既存下地の処理は、(2)から(6)までによる。
なお、補修箇所の形状、長さ、数量等は、特記による。

(2) 既存防水層撤去後のコンクリート面又はモルタル面の既存下地の処理は、次による。

(ア) P1B工法、P1BI工法、T1BI工法、P1E工法、P1Y工法及びP1S工法は、次による。

(a) 既存下地に付着している防水層残存物等のケレン及び清掃を行う。

(b) コンクリート面等のひび割れ部は、P1B工法、P1BI 工法、T1BI 工法、P1E工法又はP1Y工法の場合はアスファルト防水工事用シール材、P1S工法の場合はポリマーセメントモルタルで補修する。
ひび割れ幅が2mm以上の場合は、Uカットのうえ、ポリウレタン系シーリング材等を充填する。

(c) 既存下地の欠損部は、ポリマーセメントモルタルで平滑に補修する。
支障のある浮き部は、撤去し、ポリマーセメントモルタルで補修する。
ぜい弱部は、ケレン等のうえ、ポリマーセメントペースト等で補修する。

(d) 部分的な水はけ不良や勾配不良がある場合は、監督職員と協議する。

(イ) M3AS工法、M3ASI工法、M3D工法及びM3DI工法は、次による。

(a) 既存下地の処理は(ア)の(a)及び(b)による。

(b) 部分的な水はけ不良がある場合は、ポリマーセメントモルタルで補修する。
ただし、勾配不良がみられる場合は、監督職員と協議する。

(ウ) S3S工法及びS3SI工法は、次による。

(a) 既存下地に付着している防水層残存物等の処理は、(ア)(a)による。
下地プライマー等が残存している場合は、ポリマーセメントペースト等の下地調整材を塗り付ける。

(b) コンクリート面等のひび割れ部は、ポリマーセメントモルタルで補修する。
ひび割れ幅が2mm以上の場合は、Uカットのうえ、ポリウレタン系シーリング材等を充填する。

(c) 既存下地の欠損部、支障のある浮き部及びぜい弱部等の処理は、(ア)(c)による。

(d) 部分的な水はけ不良がある場合の処理は、(イ)(b)による。

(3) 既存防水層の処理は、次による。

(ア) P2A工法、P2AI工法、P2E工法及びP2Y工法は、次による。

(a) 既存防水層に付着しているコンクリート等は、既存防水層を損傷しないようケレン及び清掃を行う。
清掃後、溶融アスファルト又はアスファルト系下地調整材を 1.0 ㎏/m2程度塗布する。

(b) 既存露出防水層の損傷箇所、継目等のはく離箇所、浮き部分等は、切開し、バーナーで熱した後、溶融アスファルトを充填し、張り合わせる。
ただし、次のいずれかの場合は、監督職員と協議する。

① 既存防水層の表面が劣化により含水し、バーナーで熱したときに気泡が生じる場合

② 既存防水層の表面が劣化し、既存防水層の不具合なふくれや浮きが全体にわたっている場合

③ 既存防水層にストレッチルーフィングが挿入されていない場合

(c) 既存防水層撤去後の立上り部等の処理は、(2)(ア)の(a)から(c)までによる。

(イ) M4AS工法、M4ASI工法、M4C工法及びM4DI工法は、次による。

(a) 既存露出防水層表面の砂は、既存防水層を損傷しないよう可能な限り取り除き、清掃を行う。
清掃後、溶融アスファルト又はアスファルト系下地調整材を1.0㎏/m2程度塗布する。

(b) 既存露出防水層表面の仕上げ塗装の除去は、デッキブラシ等で水洗いを行い、適用は特記による。

(c) 既存露出防水層の処理は、(ア)(b)による。
ただし、M4AS工法の場合は、溶融アスファルトの充填は行わない。
また、既存防水層が絶縁工法の場合は、監督職員と協議する。

(d) 既存防水層撤去後の立上り部等の処理は、(2)(ア)の(a)から(c)までによる。

(ウ) M4S工法及びM4SI工法は、次による。

(a) 既存露出防水層の表面の遊離した砂は、取り除き、清掃を行う。

(b) 既存露出防水層の損傷箇所、継目等のはく離箇所、浮き部分等は、切開し、加熱した後、張り合わせる。
ただし、既存防水層の不具合なふくれや浮きが全体にわたる場合は、監督職員と協議する。

(c) 既存下地がぜい弱等で、固定金具の取付強度が不十分な場合は、監督職員と協議する。

(d) 既存防水層撤去後の立上り部等の処理は、(2)(ウ)の(a)から(c)までによる。
ただし、立上り部が機械的固定工法の場合は、Uカット及びポリウレタン系シーリング材等の充填を省略することができる。
また、既存下地がぜい弱等で、固定金具の固定強度が不十分な場合は、監督職員と協議する。

(エ) S4S工法及びS4SI工法 (接着工法) は、次による。

(a) 既存露出防水層の表面は、ゴミ等の異物を取り除き、水洗いを行う。

(b) 既存露出防水層の損傷箇所、継目等のはく離箇所、浮き部分等は、切除し、ポリマーセメントモルタル等で平滑に補修する。
ただし、既存防水層の表面の著しい劣化、既存防水層と下地の接着強度不足又は全体にわたるふくれや浮きがある場合は、監督職員と協議する。

(c) 既存防水層撤去後の立上り部等の処理は、(2)(ウ)の(a)から(c)までによる。

(オ) S4S工法及びS4SI工法 (機械的固定工法) は、次による。

(a) 既存露出防水層の表面は、ゴミ等の異物を取り除き、清掃を行う。

(b) 既存露出防水層の損傷箇所、継目等のはく離箇所、浮き部分等は、切開し、平滑にする。
ただし、既存防水層の不具合なふくれや浮きが全体にわたる場合は、監督職員と協議する。

(c) 既存下地のぜい弱等で、固定金具の固定強度が不十分な場合は、監督職員と協議する。

(d) 既存防水層撤去後の立上り部等の処理は、(ウ)(d)による。

(カ) L4X工法は、次による。

(a) 既存露出防水層の表面は、ゴミ等の異物を取り除き、水洗いを行う。
乾燥後、層間接着用プライマーを塗布する。

(b) 既存塗膜防水層表面の仕上げ塗装の除去は、デッキブラシ等で水洗いを行い、適用は特記による。

(c) 既存防水層の破断、穴あき箇所の浮き部分及びふくれ部分は、切除し、ポリマーセメントモルタルで平滑に補修する。
既存防水層の劣化によるチョーキング部は、デッキブラシ等で水洗いを行う。

(4) 既存保護層の処理は、次による。

(ア) P0AS工法、P0ASI工法、P0D工法及びP0DI工法 は、次による。

(a) 既存下地に付着している異物はケレンし、全面をデッキブラシ等で清掃を行う。

(b) コンクリート面等のひび割れ部の処理は、(2)(ア)(b)による。

(c) 既存下地の欠損部、支障のある浮き部及びぜい弱部の処理は、(2)(ア)(c)による。

(d) 既存目地の欠損部は、次による。

① アスファルト防水工事用シール材を充填するなどして、平たんに補修する。

② 突出している目地材は、撤去して平たんにする。

③ 既存目地を脱気に利用する場合は、既存目地を撤去し、バックアップ材を用いてポリウレタン系シーリング材等を充填する。

④ P0AS工法の場合は、目地上をテープ状の改質アスファルトシートで増張りすることが出来る。

(e) 部分的な水はけ不良がある場合の処理は、(2)(イ)(b)による。

(f) 既存保護層及び防水層を撤去した立上り部等の処理は、(2)(ア)の(a)から(c)までによる。

(イ) P0S工法及びP0SI工法 (接着工法) は、次による。

(a) 既存下地の処理は、(ア)の(a)、(b)、(c)及び(e)による。
なお、コンクリート面等のひび割れ部は、ポリマーセメントモルタル等で補修し、ひび割れ幅が2mm以上の場合は、Uカットのうえ、ポリウレタン系シーリング材等を充填する。

(b) 既存目地の処理は、(ア)(d)による。
なお、既存目地周囲の欠損部は、ポリマーセメントモルタルを充填するなどし、平たんに補修する。

(c) 既存保護層及び防水層を撤去した立上り部等の補修及び処置は、(2)(ウ)の(a)から(c)までによる。

(ウ) P0S工法及びP0SI工法 (機械的固定工法) は、次による。

(a) 既存下地に付着している異物はケレンし、清掃を行う。

(b) 既存下地の著しい欠損部は、ポリマーセメントモルタルで補修する。

(c) 既存下地がぜい弱等で、固定金具の固定強度が不十分な場合は、監督職員と協議する。

(d) 既存目地の欠損部は、ポリマーセメントモルタルを充填するなどし、平たんに補修する。
また、突出している目地材は、撤去して平たんにする。

(e) 部分的な水はけ不良がある場合の処理は、(2)(イ)(b)による。

(f) 既存保護層及び防水層を撤去した立上り部等の処理は、(3)(ウ)(d)よる。

(g) 既存保護層を撤去し防水層を非撤去とした立上り部等の処理は、特記による。
特記がなければ、次による。

① 既存防水層に付着しているコンクリート等は、既存防水層を損傷しないようケレン及び清掃を行う。

② 既存露出防水層の損傷箇所、継目等のはく離箇所、浮き部分等は、切開し、加熱した後、張り合わせる。

③ 既存下地がぜい弱等で、固定金具の取付強度が不十分な場合は、監督職員と協議する。

(エ) P0X工法は、次による。

(a) 既存下地に付着している異物はケレンし、全面をデッキブラシ等で清掃を行う。

(b) コンクリート面等のひび割れ部は、ポリマーセメントモルタル等で補修する。

(c) 既存下地の欠損部及びぜい弱部の処理は、(2)(ア)(c)による。

(d) 既存目地の処理は、(イ)(b)による。

(e) 部分的な水はけ不良がある場合の処理は、(2)(イ)(b)による。

(f) 既存保護層及び防水層を撤去した立上り部等の処理は、(2)(ウ)の(a)から(c)までによる。
ただし、ひび割れ幅が2mm以上の場合は、Uカットのうえ、ポリウレタン系シーリング材等を充填する。

(5) 出隅及び入隅の処理は、次による。

(ア) アスファルト防水を行う場合の出隅及び入隅は、通りよく 45°の面取りとする。
ただし、既存防水層を撤去し、改質アスファルトシート防水を行う場合の出隅は通りよく 45°の面取りとし、入隅は通りよく直角とする。
なお、P0D工法、P0DI工法、M3D工法、M3DI工法、M4C工法及びM4DI工法の場合は、入隅に成形キャント材を使用することができる。

(イ) 合成高分子系ルーフィングシート防水又は塗膜防水を行う場合の出隅は、通りよく 45°の面取りとし、入隅は、通りよく直角とする。

(6) 設備機器架台、配管受部、パラペット、貫通パイプ回り、手すり・丸環の取付け部、塔屋出入口部等の欠損部及び防水層末端部の納まり部の処理は、特記による。
特記がなければ、監督職員と協議する。

このページは、国土交通省のWebサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)平成31年版 をWebページ化したものです。

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