6.15.1 一般事項
この節は、コンクリート下地、コンクリートブロック下地等の面に施すセメント、細骨材等を主材料としたモルタル塗りに適用する。
なお、モルタル塗りの浮き及びひび割れを改修する場合は、4章[外壁改修工事]による。
6.15.2 施工一般
(1) 養生は、次による。
(ア) 近接する他の部材、その他の仕上げ面を汚損しないように、紙張り、板覆い、シート掛け等の適切な養生を行う。
(イ) 塗り面の汚れ及び急激な乾燥を防止するために、シート掛け、水湿し等を行う。
(ウ) 気温が5℃以下の場合は、施工を行わない。
ただし、やむを得ず、施工する場合は、板覆い、シート掛け等で行うほか、ヒーター等で採暖する。
(2) ひび割れ防止は、次による。
(ア) コンクリート打継ぎ部、開口部回り、せっこうラスボード類の継目等のひび割れのおそれのある箇所には、メタルラス張り等を行う。
(イ) 下地が異なる取合い部分及び躯体のひび割れ誘発目地部分には、目地、見切り縁等を設ける。
6.15.3 材料
(1)モルタルは、現場調合材料又は既調合材料とし、適用は特記による。
(ア) 現場調合材料
(a) セメントは、8.2.5[コンクリートの材料及び調合](1)による。
(b) 白色ポルトランドセメントは、JIS R 5210 (ポルトランドセメント) に準ずる。
(c) 細骨材
① 砂は、良質で塩分、泥土、じんかい及び有機物を有害量含まないものとする。
粒度は、表 6.15.1により、細粗粒が適切に混合したものとする。
② 色砂の粒度は、表6.15.1に準ずる。
③ 内壁下塗り用軽量モルタルの細骨材は、セメント混和用軽量発泡骨材とし、建築基準法に基づく不燃材料の指定又は認定を受けたものとする。
(イ) 既調合材料は、特記による。
(2) 水は、水道水を使用する。
ただし、井水を使用する場合は、清浄で塩分、鉄分、硫黄分、有機物等を有害量含まないものとする。
(3) 混和材料は、次により、モルタルの性能に著しい悪影響を与えないものとする。
(ア) 混和材は、左官用消石灰、ドロマイトプラスター等とする。
また、色モルタルの場合は、色彩に影響を与えるものは避ける。
(イ) 保水剤は、メチルセルロース等の水溶性樹脂とし、実績等の資料を監督職員に提出する。
(ウ) 建具回り等の充填モルタルに使用する防水剤及び凍結防止剤の実績等の資料を監督職員に提出する。
(エ) ポリマーセメントモルタル、ポリマーセメントペースト用の混和剤は、JIS A 6203 (セメント混和用ポリマーディスパージョン及び再乳化形粉末樹脂) に基づくセメント混和用ポリマーディスパージョンとする。
(オ) 内壁下塗り用軽量モルタルに使用する混和材は、骨材の製造所の仕様による。
(カ) 顔料は、耐アルカリ性の無機質で、直射日光等に対しても変色が少なく、金属を錆びさせないものとする。
(4) 吸水調整材は、4章2節 表 4.2.2[吸水調整材の品質]による。
(5) 下地調整塗材は、 JIS A 6916 (建築用下地調整塗材) による。
(6) 既製目地材の適用及び形状は、特記による。
6.15.4 調合及び塗厚
(1) モルタルの調合及び塗厚は、表6.15.2による。 なお、防水下地の床及び立上りの塗厚は、15mm以上とする。
(2) 1回の塗厚は、7mm以下とする。
ただし、床の場合を除く。
(3) 仕上げ厚又は全塗厚 (タイル張りは、張付けモルタルを含む。) は、25mm 以下とする。
ただし、床の場合を除く。
(4) ポリマーセメントモルタルの調合は、(1)による。
ただし、混和剤の使用量は、セメント質量の5% (全固形分換算) 程度とする。
(5) 内壁下塗り用軽量モルタルのセメント量、細骨材量、混和材混入量等の調合は、細骨材の製造所の仕様による。
(6) ポリマーセメントペーストの混和剤の使用量は、セメント質量の5% (全固形分換算) 程度とする。
(7) 混和材料の使用量は、モルタルの強度等に著しい影響を与えない程度とする。
(8) モルタルの練混ぜは、原則として、機械練りとする。
(9) 1回の練混ぜ量は、60分以内に使い切れる量とする。
6.15.5 下地処理
(1) コンクリート、コンクリートブロック等の壁、床等で、ひずみ、不陸等の著しい箇所は、目荒し、水洗い等のうえ、モルタル又は下地調整材で補修し、14日以上放置する。
ただし、気象条件等により、モルタルの接着が確保できる場合には、放置期間を短縮することができる。
(2) コンクリート、コンクリートブロック壁面は、デッキブラシ等で水洗いを行い、モルタルの接着を妨げるものを除く。
ただし、屋内の場合で工程等により、水洗いが困難な場合は、デッキブラシ等で清掃する工法によることができる。
(3) コンクリート壁面に高圧水洗処理で目荒しを行う場合は、4.4.9[モルタル塗替え工法](3)(ウ)及び(エ)による。
(4) 壁面の場合で、仕上げ厚又は全塗り厚 (タイル張りは、張付けモルタルを含む。)が 6.15.4(3)の規定を満足しない場合は、特記による。
6.15.6 工法
(1) 壁塗りは、次による。
(ア) 下塗りは、次による。
(a) 6.15.5(2) の下地処理後、下地の乾燥具合を見計らい、吸水調整材を吸水調整材の製造所の仕様により全面に塗る。
ただし、下塗りに内装下塗り用軽量モルタル又はポリマーセメントモルタルを塗り付ける場合以外は、6.15.5(2)の下地処理後、吸水調整材塗りに代えてポリマーセメントペーストを1~2mm塗りとすることができる。
この場合、必要に応じて、保水剤を使用する。
(b) 塗付けは、吸水調整材塗りを行った場合は乾燥後、ポリマーセメントペースト塗りを行った場合は乾燥しないうちに、塗残しのないよう全面に行う。
(c) 下塗り面は、内壁下塗り用軽量モルタルの場合を除き、金ぐし類で荒らし目をつける。
(d) 下塗り後、モルタル表面のドライアウトを防止するために、水湿しを行う。
(e) 下塗り及びラス付けは、14日以上放置して、ひび割れ等を十分発生させてから、次の塗付けを行う。
ただし、気象条件等により、モルタルの接着が確保できる場合には、放置期間を短縮することができる。
(イ) むら直しは、次による。
(a) むらが著しい場合に行う。
(b) むら直しが、部分的な場合は、下塗りに引き続いて行い、(ア)の(c)から(e)までによる。
(c) むら直し部分が比較的大きい場合は、(ア)(e)の後、塗り付ける。
塗付け後、荒らし目をつけ、7日以上放置する。
ただし、気象条件等によりモルタルの接着が確保できる場合には、放置期間を短縮することができる。
(ウ) 中塗りは、次による。
出隅、入隅、ちり回り等は、定規塗りを行い、定規通しよく平らに塗り付ける。
(エ) 上塗りは、次による。
中塗りの状態を見計らい、面、角、ちり回り等に注意し、次により、こてむらなく平らになるよう、仕上げる。
① 金ごて仕上げの場合は、金ごてで押さえて仕上げる。
② 木ごて仕上げの場合は、水引き具合を見計らい、木ごてでむらを取り、平たんに仕上げる。
③ はけ引き仕上げの場合は、木ごてで均した後、少量の水を含ませたはけを引き、はけ目の通りよく仕上げる。
(オ) 仕上げの種類は、次による。
仕上げの種類は、施工箇所に応じて、表6.15.3を標準とする。
(カ) 目地を設ける場合は、あらかじめ目地棒で通りよく仕切り、仕上げ後、目地棒を外し、目地塗りをする。
なお、既製目地材は、あらかじめ所定の位置に通りよく取り付け、壁塗りを行う。
(2) 床塗りは、次による。
(ア) 6.15.5(1)の下地処理後、デッキブラシ等で、セメントペーストを床面に十分塗り付けた後、直ちにモルタルの塗付けを行う。
なお、セメントペースト塗りに代えて吸水調整材を使用する場合は、吸水調整材の製造所の仕様により、吸水調整材を全面に塗り、乾燥具合を見計らってモルタルの塗付けを行う。
(イ) 塗付けは、水引き具合を見計らい、定規通しよく、勾配に注意し、金ごてで平滑に塗り均し仕上げる。
(ウ) 床の目地の目地割り及び種類は、特記による。
特記がなければ、目地割2m2程度、最大目地間隔を3m程度とし、目地の種類を押し目地とする。
(3) タイル張り下地等の下地モルタル塗り及び下地調整塗材塗りは、次による。
(ア) 床は、次による。
(a) 塗厚は、全仕上げ厚さ、タイル厚さ等から定める。
(b) 床は、6.16.3(6)(イ)(a)の場合を除き、(2)による。
ただし、表面は木ごてで仕上げる。
(イ) 壁は、次による。
(a) セメントモルタル張りタイル下地は、次による。
① 塗厚は、全仕上げ厚さ、タイル厚さ等から定める。
② タイル張りが、マスク張り又はモザイクタイル張りの場合は、中塗りまで行い、木ごて押さえとする。
③ タイル張りが、改良積上げ張りの場合は、厚さ6mm の下塗り (ラス下地の場合を含む。)を行う。
④ モルタル下地面の仕上げは、木ごて押えとし、その精度は、モザイクタイルでは2mにつき3㎜、小口以上のタイルでは2mにつき4mmとする。
なお、精度について、確認を行い、その結果を監督職員に報告する。
(b) 壁タイル接着剤張り下地は、次による。
タイル張りが、内装タイル接着剤張りの場合は、中塗りまで行い、金ごてで仕上げる。
コメント
コメントを投稿